仮想的無能

訳してます。

Positive Discipline for Teenagers, Revised 3rd Edition: Empowering Your Teens and Yourself Through Kind and Firm Parenting

 

仮想的無能

 

アダムは、ひどく落ち込んで、親に、自分に彼女がいなくていかに不幸かということを言い続けています。彼は、サークルのなかで唯一パーティにだれもいっしょにいく相手以外ない男の子なのです。どれだけ親が励ましても、彼は、なにをやったって彼女なんてできないと主張するのです。

 

アダムの親は、ファミリーカウンセラーに話を聞いてもらおうかと思いあたりました。彼らもなんとかいろいろ聞いてやりたいと思うのですが、うまくいかないのです。時々親戚が話を聞いてくれたりもするのですが、カウンセラーのところに数回行く方が、思春期の子どもと親のコミュニケーションよりも、よりよいことがあります。

 

アダムは、カウンセラーに彼の話を話してくれました。

カウンセラーは、アダムが、自分はなにをやったとしても失敗すると思い込んでしまっていると気づきました。そして、彼は、失敗するなら何もしない方がいいと信じているようでした。アダムは、彼がシャイだから女の子にもてないのだと信じ込んでいました。たとえ女の子に話しかけたとしても、きっと女の子は退屈してしまい、ほかの男の子に、いかにアダムがだめな男なのかということを話すだろうと思い込んでいました。

 

カウンセラーは、彼に、どこでこの考えを手に入れたか聞いてみました。アダムは答えてくれました。どうやら先日何人かの女の子が、その前の日の夜に電話をかけてきた男の子について話していることを耳にしたようでした。その女の子たちは、もしもう一度その男の子が電話を、自分たちのだれかにしてきたら、どうやって排除しようかと笑って話をしていたようでした。アダムは自分がその男の子のようにバカにされたくないと思っていました。

 

思春期の子どもが勇気をくじかれたとき、親やカウンセラーの仕事は、勇気を取り戻すサポートをすることです。子どもからの隠されたメッセージは、

「私を諦めないで。スモールステップを教えて」

です。こういった仮想的無能感を持っている子どもには「私はあなたを信じているよ」「私は決してあきらめないよ」「もしよければ、少しずつやっていけるよ」と伝えることによって、子どもがその課題をやり抜く手助けをすることができます。

 

アダムのカウンセラーは、彼に、この状況を違う方向から見てみないかと尋ねてみました。アダムは同意しました。

カウンセラーはアダムに、今まで自分の服を買ったことがあるかどうか尋ねました。ちょっと困った感じの顔でしたが、ちょうど新しいスキー用のジャケットを買ったと返答しました。「あなたは、あなたが棚に置いてあった服で最初に置いてあったものを買ったのですか?」とカウンセラーは聞きました。

アダムは言います。「もちろん違うよ。自分がこれだって思えるものを見つけるまで、20~30着くらい試したよ。」

「そうよね、アダム」カウンセラーは言います。「じゃぁパーティに連れていく女の子を見つける事って、それより簡単な事かしら?」

「そんなことは思ったこともないよ」とアダムは言います。「でも、もし電話をして誘って、そのあと、その女の子が自分の悪口をほかの友達にいったらと思うと。」

「そんなときは、そうやって人の悪口を言うような女の子が自分といっしょに行かないということを決めてくれてよかったと思って、自分自身に、よかったねっていうの。」

 

アダンはひとしきり考えて、「いいたいことはわかるけど、それでも女の子に話すのは怖いよ。もし、何も話せなかったりしたら・・・」

 

アダムはカウンセラーと電話緒する練習をして、アダムが紹介してくれたような女の子とは違うやり方をやってみせました。アダムは、電話をしたときに、女の子が少しでも楽しそうにしてくれていたら、話をしやすいということに気づきました。もし女の子が黙って、話しにくそうにしていたら、彼女は最初のデートに相応しい女の子ではないかもしれないということに気づきました。

 

アダムは家に帰って、誰かに電話しようとしましたが、やはりそこでまた固まってしまいました。彼はアダムがとても怖がっていることに気づき、今までの人生で大きな恐怖を乗り越えたことがあるかどうか尋ねました。彼は少し考えたあとに言いました。「以前は急な凸凹したところをスキーで滑ることはとても怖かったけど、今は楽しくなったし、好きなくらい。」

「どうやってその恐怖を克服したの?」

「頂上にいるときに足が震えてしまったけど、自分指針に「やるんだ!」と言い聞かせてやったんだ。そしたらそれは素晴らしいものだったんだ。」

「さぁアダム」カウンセラーは言いました。

「やるのよ!」

アダムはにやりと笑いました。

 

アダムは自分の仮想的無能感に対する思い込みを修正することができました。

なぜならだれも、「そんな風に考えるなんて馬鹿げてるよ」と言わなかったからです。

代わりに彼の親は彼が助けを必要としていることに十分に耳を傾けたのです。彼のカウンセラーは耳を傾け、共感し、彼の偏った思い込みを探求しました。彼女は、彼の成功体験に基づいたスキルを使って、彼の怖れを克服する手助けをしたのです。

 

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