授業風景

~授業の始まり~(中学生の部)

塾に来て最初の10分。

子どもたちはA4無地ノートを広げます。

色鉛筆を取り出す生徒もいれば、ボールペンを使う生徒も。

今日の目標を書き始めます。

ある生徒は、ピースサインをして笑っている姿を書きます。

ある生徒は、一生懸命やって手がはれて痛くなるくらいがんばる!と書きます。

それが今日の目標。

2時間30分という授業が終わった時に、そういう自分になっていれば、今日は目標達成!!

その後、私から、「ピースサインをしているときは、どんな気持ち?」 「体の感じは軽い?重い?」「 胸のあたりは温かい? 冷たい?」 など問いかけを受けます。

‘集中する!’や‘がんばる’ということは目標にしません。集中した結果、どういう感覚になるのか、がんばった結果どういう感覚になるのかということを目標とするように言葉がけを行います。

なぜこのような目標設定をするのか。

それは自分次第で必ず達成できる目標にすることで、成功体験をし、自信をつけるためです。

現代の子どもは自己肯定感をあまり持てないというデータがでています。 「~ページやる!」「100点」などの目標は、予想より時間がかかったり、問題が難しかったりして、達成できない可能性があります。塾に来て、がんばって取り組んでいることだけでも自信を持っていいのに、目標を達成できなかった・・・という負のイメージを持って、自信を失くしてもらいたくないという思いがあります。また、「集中する!」や「がんばる!」は自己で判断する基準がないので、達成したかどうかがあいまいになります。自己判断できる基準を設けるために自分の状態や感覚を目標としています。

次に、それに基づいた今日の時間割を自分で組みます。2時間30分のうち、15分は休憩OK。 15分まとめてとってもいいし、5分ずつとってもいい。もちろんとらなくてもいい。 それぞれの生徒が自分なりに考え、時間割を決めます。

そのあとは私に提出。私から、「これをやったら、自分の目標を達成できそう?」と尋ねられます。

生徒がもう一度考え、大丈夫だと思えば、そこから授業が始まります。

学習効果を高めるためにはモチベーションは欠かせません。モチベーションを高める要素として、自己決定感があると考えているので、このようなやり方を行っています。

~授業の流れ~

授業が始まります。生徒たちはもくもくとテキストに目を通しています。一尾塾では講義は行いません。

もちろん理由があります。それは社会に出たときに、講義形式で物事を学ぶ機会よりも、自力で学ぶ機会が多いと考えるからです。

また、自力で学ぶとき、マニュアルやテキストがあればまだ助かりますが、それすらないときもあるのではないでしょうか。

だれかに教えてもらえなくても、生徒のために分かりやすく書かれた教科書やテキスト、問題集があるという環境であれば、そこからある程度学べる習慣をつけておくことが社会での自立へ向けたよいステップだと考えています。

ですから一尾塾では講義はありません。 まずは一人で取り組ませます。

私:「じゃあまずは解説を読んでみようか。」

私:「どう、わかる?」 もちろんこの時点ですぐに理解できない場合もあります。

生徒:「なんとなくは・・・」 なんとなくでOK。実際にやってみないとわからないことは多いのですから。

私:「そっか、じゃあ問題を解いてみようか。」 問題を解かせてみます。

生徒:「うーん、わからない。」「いちおうできたけど、あまり自信がないかな・・・」いろいろな反応があります。

私:「そっか、じゃあ答えを見てみようか。」 ある程度考えた後や自信がないときは答えを見せます。

なぜか。

正しい答えを出すことが目的ではないからです。

与えられた情報から、どうやったらその答えにたどりつくかを考えることが大切だと考えるからです。ですから、一尾塾では、生徒の様子を見ていて、たとえ正解だったとしても、なぜそうなったのかを尋ねることがあります。結果がすべてではありません。むしろ結果はほんの一部であり、ほかの大部分のプロセスが大切だと考えているからです。答え合わせをしてからが勉強なのです。

わからないときは何度も解説を読ませます。そして、問題と答えと解説を見比べる。どこがどうつながっているのか。始めのうちはなかなかつらい作業です。そこを勇気づけながらサポートしていきます。

紆余曲折・・・ ついに生徒は理解します。

生徒:「先生、できた。わかった!」 そのときはとてもうれしそうな顔をします。

私:「いまね、だれにも教えてもらえなくても、自分で新しいことを理解したんだよ!」

生徒:「ほんとだね!」

私:「どう?」

生徒:「できるんだって思った。」

私:「だね。できたよね。」

生徒は一人でもできるという成功体験を積みます。それは教えてもらったときよりも大きな成長のように感じます。そして、そうやって自分で考えると、教えてもらえることがとてもありがたく思えるようになります。

ほとんどの生徒は‘勉強は教えてもらうもの’’正解を出すことが大切だ’と思っています。

社会にでてみるとどうでしょう。教えてもらえる機会は少なく、正解はほぼないに等しいといえるのではないでしょうか。

そのギャップに生徒が戸惑うのも無理はありません。そう考えると、やはりまずは自分でやってみる、もっている資料をしっかりと使う、答えではなくそのプロセスに価値を置くということを伝えていくことは大切なことではないでしょうか。

上記の流れは基本的な流れではありますが、あくまで抜粋です。いきなりはうまくいきません。一歩一歩です。一人ひとりに個性があるので、一人ひとりに違う言葉がけを行います。かける時間も違います。生徒との信頼関係がきちんとできるまでは丁寧に解説することもあります。しかし、いままでの生徒はみんな自分できるようになりました。子どもたちはしっかりとした力を持っています。

そして、だんだんたくましくなっていくように感じています。

~分からないとき~

生徒:「先生、解説を読んだんですけど分かりません。」

私:「そうかぁ 分からないか。」

だいたいの生徒がこんな感じです。

私:「じゃあ、とりあえず問題解いてみて。」

解説を読むだけだと、実際にどこがどのように使われているかが、分かりにくい場合があります。実際に問題を解いてみると理解できることも多いです。ここで生徒が理解できれば大きな自信になります。

生徒:「解いてみたけど、まだ分かりません。」

私:「答えを見てみるといいよ。」

生徒:「見ていいんですか?」

私:「もちろん。初めてやるんだしね。 答えをみて、どうやったらその正解にたどりつくか考えることが勉強であって、正解を出すことが勉強ではないからね。」

ここはとても大切にしています。正解があるのは学生のうちだけです。社会にでると正解はないに等しいといっても過言ではないでしょう。また、正解はほんの一部分であり、大部分であるプロセスを大切だと考えています。

また、参考書などでは、解説の次に、例題や類似問題が設定されているケースがほとんどです。そのあとに練習問題や確認テストがあります。そこまでに理解すればいいことなので、導入の部分は仕組みややり方をいかに考えるかということが大切なのだと思います。

生徒:「どうしても分かりません!」

私:「そうか、じゃあちょっと戻ってやってみようか。」

どれだけ考えても分からないとき、その前の部分が分かっていないことが多いです。ですから、そんなときは分かるところまで戻って学習してもらいます。自分がしっかりと習得できなかったところに向き合い、クリアしていく。これは生徒なりの責任の果たし方なのではないかと考えています。

ここまで一通りできるようになったら、私から言います。

私:「分からないときに、‘どうしてもこの人に教えたい!’と思わせる聞き方があるけど知りたい?」

生徒が知りたいと言えば次のように答えます。

私:「ここからここを読んで、問題も解いてみました。答えと見比べてみたのですが、自分が思っているやり方だと正解にたどりつけませんでした。私の思っているやり方をどのように変えればいいかを教えてもらえると助かります。」

もちろんこの通りに言う必要はありません。自分ができることをすべてやりきったということ、また、自分なりに仮説を考えてみたということ。この2点を押さえることが大切だと考えています。

さらに心の持ち方も大切だと考えています。

‘できない=よくない’ ‘間違い=悪い’ ‘わからない=嫌’

ほとんどの生徒がこの公式を身につけています。

‘できないからこそ伸びしろがある。’

‘間違いこそが自分を大きく成長させてくれる。’

‘わからないことこそが自分の大切な糧となる。’

こういうものの見方、考え方ができるようになれば、正解のない社会、わからないことだらけの社会すべてが大きなチャンスのかたまりに見えてきます。

だからこそこのような持ち方を大切にしています。

~最後の15分~

まずは自分で立てたスケジュール表の確認です。 進捗はどうなのか? 予定通りいっていないものはないか?などの確認です。

スケジュールに沿ってできるようになることも大切ですし、今はできなくても、将来スケジュールを立てなければならなくなったときのひとつの経験としても役に立つと考えています。

次にその日の授業でやったことを振り返ります。

目標を書いたノートを確認。

今日はその目標を達成することはできたのか?

今日は何を学んだのか?

改めて振り返ることで、復習をし、学習効果を高めます。

それからは、今日(今週)学校で学んだこと。

復習とまではいきませんが、何をやったかということを思いだすだけでも違うと考えています。

こうして振り返ることが自分にとってどういう影響を与えるのかということを体感してもらいます。

そして、最後に、

‘今週の勇気づけ貯金箱’

書くのはごく当たり前のこと。

‘学校へ行った。’ ‘友達とたくさん遊んだ。’ ‘歯を磨いた。’ ‘ご飯を食べた。’ ‘塾に来た。’ ‘宿題をやった。’

‘わからないことにチャレンジした。’ ‘喧嘩したけど、あやまった。’ ‘おはようといった。’ などなど。

生徒は、最初は「そんなことでいいの?」と尋ねてきます。

「でもね、学校に行きたいと思ってもいけない人だっているし、ご飯を食べたいと思っても食べられない人もいるのではない?」と話します。

「それがを今できている自分に自信をあげてもいいんじゃない?」

半分くらいの生徒は分かりますし、半分くらいの生徒はなんのこっちゃって雰囲気を出しますが、書くときになると、みな一様になんだか嬉しそうです。

きっと生徒も生徒なりにいろいろとあるのでしょうから、そんななかでもがんばった自分を認めるということは、自信にもつながりますし、自己肯定感にもつながると考えています。

そして授業終了。

~外部講師~

一尾塾ではおよそ2カ月に1回、外部の方を招いています。

生徒が関心を持っている仕事に就いている方のときもあれば、まったく知らない職種の方にも来ていただいています。

そうすることで、いろいろなものの見方、考え方を知ってもらいたいからです。

今年の開講から、4名の方に来ていただきました。

元大手企業プログラマーの方。現在は独立開業。

アパレル関係の方。現在はテーブルコーディネーターとして活躍。

現役の美容師の方とネイリストの方。

授業では、それぞれの仕事に対しての思いや、業界の話、大変なこと、大切にしていることなどを和気あいあいとした雰囲気のなかでやり取りします。

大人数のなかではなかなか聞けない話などもあり、生徒も楽しい時間を過ごしてくれています。

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