ポジティブタイムアウト
落ち着くための時間は、もしその根拠が事前に説明されていて、子どもが自分の気分がよくなるように自分でつくったもので、親や先生が、「ポジティブタイムエリア(呼び方は子どもが決めたものであればなんでも可)に行くことはあなたにとって手助けになるかな?」と尋ねられたときに、勇気をくじかれた子どもにとって有効なものです。
バスルームテクニックやノベルテクニックは、時々ポジティブタイムアウトよりも良い時があります。なぜならあなたが子どもに何をやるかと尋ねる代わりに、あなたがやろうとすることを自分で決めることができるからです。
しかしながら、多くの親や先生は、バスルームテクニックの代わりにポジティブタイムアウトを使うことを好みます。なぜならば、もし彼らが仕事で忙しかったら、たとえば夕食の片付けや授業をやっている場合、バスルームテクニックを使うことは不便だと感じるからです。(しかしながら、時には少々の不便であることは、子どもに責任や協力を学ぶように勇気づけたりエンパワーできることを考えると、少ない代償であるということが言えます。)
もう一度大事なコンセプトを復習しましょう。それは、「一体私たちはどこで子どもたちによりよい行動をとらせるためには、まずは嫌な気持ちにさせることだ」という考えを身に付けたのでしょうということです。
ほとんどの親は、子どもたちを部屋に返すのは、自らを嫌な気分に浸らせるために行かせるのだというこの誤った考え方を持っています。
「部屋にいって、自分が何をしたか考えてみなさい。」
このときの声のトーンはたいてい「そしてあなたも痛い目を感じなさい。」ということを暗に示しています。
ある親は不満さえ言います。
「子どもを部屋に送り返しても、なんのいいこともないわ。だって部屋で楽しんでいるもの。」
私は言います。「素晴らしい。きっとよりよい結果がでるでしょう。」
実際、私は親に、子どもたちにポジティブタイムアウトについて、それは落ち着けて、楽しい時間なんだということを教えるように伝えています。(詳しくは第6章で)
「あなたがむかついたり、怒ったりしたときは、あなたの部屋にいって、なにか自分の気分をよくするようなことをすることはとても役に立つことだよ。本を読んでもいいし、おもちゃで遊んでもいい、音楽を聴いてもいいし、昼寝をしてもいい。そして、気分がよくなったら、出てきて、一緒にどうしたらいいかを考えたらいいのです。」
これを誤った行動に対する褒美じゃないかと心配する親にとっては、もし気分がよいときにだけ解決策を考えるということを一貫していない場合は、その通りということになるでしょう。
家庭と学校におけるポジティブタイムアウトと50以上の権力争いの避け方についての本を読んでもらえれば、どのようにしたら、子どもたちが「送られる場所」ではなくて「自分で選ぶことができる場所」を創り上げることに巻き込めるかということの詳細が書いてあるので参照してみてください。
3歳以下の子どもは、たとえそれがポジティブタイムアウトだったとしても、使うのは幼すぎるでしょう。
しかしながら、あなたが彼らといっしょにタイムアウトの場所へ行くことはできます。おそらくあなたも子どもも二人ともその時間は必要でしょう。
ジェームズさんは、子どものアンが1歳になってから、子どもが誤った行動をしたときにベッドルームに連れて行きました。
彼女はアンを膝の上にお座りさせ、元のところに戻る前に2,3分、本を読みました。
もしアンが癇癪を起したら、母親は静かにアンのベッドにただ座って、子どもの感じるままにしました。
そして、アンがようやく落ち着いたとき、ジェームズさんは言うのです。
「もう抱きしめる準備はできてる?」
これは誤った行動に対するご褒美ではないことを思い出しましょう。これはアンがいらいらしたりしたときに対して敬意のある関わり方のモデルを見せているのです。つまり、彼女はどんな感情を持つこともOKですが、何をしてもいいというわけではないということです。
この方法は、行動を改善するために最も力のある勇気づけの基本コンセプトに基づいています。これはまた適切な発達段階における原理に基づいています。1歳の子どもが監督なしに彼女の行動をコントロールできるようなレベルの原因と結果について理解はできません。なのになぜ罰する必要があるのでしょうか。
アンが泣いてしまう「勇気をくじかれた行動」や家具に飛び乗るといった「試し行動」をすると、ジェームズさんは、優しくそして、毅然とした態度で彼女を部屋に連れて行き、いっしょに座ります。時には一緒にタイマーを探すようにお願いして、彼女の気分がよくなるくらいの時間を推測して、時間をセットしたりします(気をそらす)。
時には、子どもに選択肢を与えます。「一人で部屋にいきたいですか?それとも気分がよくなるまで一緒にだれかといたほうがいいですか?」
アンが4歳になるころまでに、彼女はこの習慣に慣れました。彼女は落ち着いて、気分をよくする時間が必要な時は、彼女は一人で部屋に行くときもありますし、一緒に来てくれるように言うときもあります。あるいは、ただ単純に一緒に遊んだり、寝たりするというときもあります。
彼女が自分の行動を変えようと思ったり、解決策に向けて敬意を払いながら取り組めそうだと思ったときに、部屋から出てきます。
アンはポジティブタイムアウトを使うことで、自分をコントロールすることができます。なぜなら、彼女は頭を冷やすために部屋に”送られる“ことに反抗しなければならないという気持ちにならないからです。
ジェームズさんは、自分が手術をして、アンがなにか誤った行動をしたときに、部屋にアンといっしょに行くだけの気力がないときに、バスルームテクニック(彼女自身がタイムアウトを取るテクニック)の効果について学びました。
ある日、アンが愚痴を言っていたときに、よろよろとホールへ降りて、バスルームに行きました。
アンは彼女のあとをついてきて、「出てきてよ」と泣きながらドアを叩きました。
数分後、ジェームスさんは、アンはハッピーな口調で「もう大丈夫だから出てきていいよ」と言う前に、無意識的に泣き落としを使って他の人をコントロールしようとしているように聞こえました。
ジェームスさんはでてきて、「あなたの気分がよくなってうれしいわ。私はあなたと過ごす時間が大好きなの。あなたの愚痴を家族会議の議題にしてみるのはどうかな?そうすれば解決に向けたよいアイディアを使うことができるわ。」