自分に向き合う。感情に正直になる。

Positive Discipline for Teenagers, Revised 3rd Edition: Empowering Your Teens and Yourself Through Kind and Firm Parenting

コツコツ訳しています。

 

正直さ:感情語を育むツール

 

あなたが今感じていること、そのとき感じたこと、そして、子どものころあなたがしたことに対して正直になることは、とても価値あることです。

親は、しばしば自分が子どものころにしたことを話すことを怖がります。なぜなら、それを話すことで、子どもが同じことしたくなってしまうかもしれないと思うからです。

 

しかし、多くの子どもたちは、その逆だと話してくれました。

 

子どもに対して正直になることを怖れないでください。それはとてもすばらしい勇気づけのコミュニケーションの方法なのです。

 

 

リンダは、彼女の娘エリンが14歳になり、異性と付き合い始めた時に、娘に対して正直になることに決めました。

 

彼女はエリンにいいました。

“私が子どものころ起きたことをあなたと共有したいのだけれど、言った方がいいと思うのだけれど、それはすごく怖いことでもあるわ。決してよいことではなかったから。そして、自分の親は少しもそれをいいとは思っていなかったし。もしあなたが、私のしたことを知ったら、あなたもそれを真似したくなるかもしれないと思うと心配でもあるの。でも、恐れずに話そうと思うわ。きっとあなたにとっての助けになるんじゃないかと思うから。”

 

リンダは深呼吸をしました。

 

“私は高校生のころからセックスをするようになったわ。今思うと妊娠しなかったことはついていただけだと思う。

 

私は愛を探すためにセックスをしていたわ。それをしたところで愛は見つからないということを知らなかったから。

 

もし彼が望むことに対して断ったら、自分のことを嫌いになってしまうんじゃないかと思ったの。私は、私が望んでいることについて、愛もなかったし、自信もなかったの。

 

それは私にとってモラルの問題でもあったわ。なぜなら、結婚する前の性交渉は罪深いことだと教わっていたから。

 

だから、自分は罪人だと感じていたし、罪悪感にさいなまれていたわ。だから、それは私をどんどんダメな人間だと感じさせていったわ。

 

私は性行為についての情報をだれかに相談もしなかったし、避妊についても誰にも尋ねなかったの。

 

実際は、私は自分自身と二度と同じようなことをしないと誓ったものの、守れなかった。そして、何度も何度も罪悪感を持ったわ。

 

 

もし私が自分自身に対して愛を感じていたら、もし私が十分な情報、せめて避妊の意図を相手に伝えられていたら、もし私がどのような選択をしても受け入れてもらえると知っていたら、私はどうしていただろうと思うわ。きっともっと賢明な選択をしたように思うわ。

 

もちろん、もしそうだったとして、自分がその行為を慎んだかどうかはわからないけれど、様々な場面、たとえば、自分がもっている断る権利があることよりも、拒絶させるほうが怖いと心配になってしまったようなときに、もっと様々な選択を持てたと思うの。

 

私の親がそれを教えてくれていたらなぁと思うので、私はあなたに話したいと思ったの。

 

あなたが、妊娠や名誉、そして、病気に関しての長期的な結果の理解に対して十分な評価をできるようになる前に、性交渉に巻き込まれてしまうことが怖いの。

 

私は、あなたが相手の要求に答えようとするよりも、自分が嫌だと思ったことを嫌だと言えるくらい自分のことを大切になってほしいなと思っているの。

 

あなたが間違ってしまったことで傷つくことから守ってあげられたらいいのだけれど、私は、あなたにとって失敗は必要だと思うし、あなたが選んだ人生のなかで、何が起きても、どんなことだろうと学ぶことができると思っているの。

 

ただ知っておいてほしいことは、私はどんなことがあろうとあなたを愛しているし、無条件に受け入れるわ。そして、もし必要な情報があれば、喜んで伝えるからね。“

 

言葉数は多くなりましたが、あなたが心と腹の底からの感情を共有しているので問題ありません。(このように話せば、子どもたちが途中で飽き飽きしてしまうことはめったにありません。)

 

彼女は彼女の気持ちを共有することがどれほど効果的であるかということに気づきました。

 

エリンは、学校でみんなが知っていることについて話しました。

 

エリンは、彼女は断ることに対しては、全く問題ないと話しました。なぜなら、彼女は他の生徒にはあっという間にいろんなことが知れ渡ってしまうだろうし、そうやって話されるのはいやだということに気づいたからです。

 

リンダは、自分の正直な気持ちを包み隠さず話さなかったら、今エリンに何が起こっているかということは知らないままだったでしょう。

 

エリンは、成長するにしたがって、セックスについての考えが変わることに気付いたとしても、リンダが、そういったことに対してのコミュニケーションをオープンにしたので、エリンは自分にとっての大切な情報源としていつでも母親と気軽に話し合うことができるでしょう。

 

 

あなた自身の感情や、それらの感情の元となっているもの、そして、その感情についてあなたがどうしたいのかということとつながることは、誠実さと勇気が必要です。

 

一旦自分の感情に対して、誠実に向き合ってコミュニケーションをとるようになると、ひたすら説明しようとしたり、合理的に説明しようとしたり、攻撃的になったり、保守的になったり、あるいはほかの反応になってしまいがちです。次の“私は~感じる”形式(私は~と感じる。なぜなら~。そして、私は~を望む)はあなたの感情の源となるところに戻してくれたり、感情の理由を理解したり、可能な解決策にたどり着く手助けをしてくれるでしょう。

 

“可能な”というところに目を向けてみましょう。

あなたが相手に望むことをお願いするということは、だれであれ、あなたにそれを与える責任があるということではありません。同様にあなたがだれかの望みに対して同意したり、同じ気持ちになる必要はないということです。

 

その代わり、“私感じる”形式は、尊敬の念に満ちた、そして、相手にも敬意のあるあなたの気持ちを表す効果的な手段です。(次のページにある感情フェイスチャートは、あなたの感情を明確にする助けとなるでしょう。)