こつこつ訳しています。現在第6章「子どもはあなたの言うことを聞いていますか?」 全14章。もう少しで半分!
憂鬱の毛玉
あなたの周りにいる人や、知っている人が、何か悪い症状や問題に陥っていることを表すとき、“鬱”という言葉を聞いたこと、使ったことがあるのではないでしょうか。
鬱という言葉は、抗うつ剤、抗不安剤、あるいはその両方を処方されることで、結果として診断される、非常に多くのこころの問題を包括的に表現できる便利な表現です。
私たちは、この表現を使う代わりに、それが、勇気づけへと向かうことができるようにするために、その状態を、絡まってしまって解きほぐす必要のある感情の毛玉として進行していると考えます。
だれかが鬱だというとき、その人は悲しみから抜け出せず、危険な状態であり、打ちのめされて、薬が必要とされる人だというように聞こるかもしれません。
しかし、もしその感情から離れることができれば、勇気くじきになってしまっているものを発見することができるでしょう。
高校2年生のジュールスはしばしば彼の友達や家族から、鬱だと“診断”されていましたし、時には、彼自身がそのように思っていました。
彼の父親は、子育て教室で学んだ感情についての表情チャートを持ち帰りました。
彼は、ジュールスの絡まってしまった感情の毛玉を吐き出す手助けになるのではないかと思い、その表を彼に見せて、言いました。
“ジュールス、子育て教室で、感情について学んできたんだ。今まで私が知っている感情を表す言葉は、お腹が空いた、怒り、そして、疲れた、という言葉しか知らなかったよ。
私は感情を学ぶためにこの表を使うことにしたよ。どうかな?この表の中で君が感じているものはなにかあるかな?”
父親は、ジュールスが自分と同じくらい自分の感情が一体何なのかということを明らかにする手助けが必要だと気づきましたし、感情を表す言葉を知らないということに気づきました。
ジュールスが表情チャートを見ました。彼はすぐにいくつかの表情を指さしました。
彼は、友だちがあまりいないから寂しいといいました。
彼は、自分の成績は上がらないだろうし、自分が選んだ大学に入れるだけの成績にも至らないだろうと考えると、落胆すると話しました。
帰省するときに、自分には付き合っている人がいないということが恥ずかしいと感じると言いました。
彼は、彼の成績が悪いことで、コンピューターを取り上げられたり、ゲームをすることを禁止されたりすることに怒りを感じると話しました。
そして、一番には、(精神状態の不具合を生じさせる)化学的不均衡についてのテレビの宣伝のことを考えると、怖い、と話しました。
父親は、これらすべてを聞いたときに驚きましたが、安心もしました。そして、それぞれに取り組めそうな気がしました。
父親は、ジュールスが煙草をすっているのではないか、また週末にいつもパーティーにいっているのではないか、そういう何か彼が思春期の子どもとして持っている感情をにぶらせてしまっているものがあるのではないかと疑っていました。
父親は話し合いを続ける方法を見つけたかったので、尋ねました。
“ジュールズ、ときどきこうやって君が感じていることを私と話さないか?きっとお互いのためになると思うんだ。”
“それは、僕のコンピューターを返してもらえるってこと?”とにやりと笑っていいました。
“どうかな。ただ、今君がどうなっているかということについて、前よりは理解できているように思し、もっと知りたいとも思っている。
もし、この感情についてのいろいろなことについてなんとかする時間をとれば、きっと君の宿題に関してのことも、なんとかできるような方法を見つけることができるんじゃないかと思うんだ。”
もしあなたの子どもがジュールスのようで、鬱じゃないかと心配になったら、あなたの子どもに感情について尋ねてみましょう。
そして、ジャッジすることなく耳を傾けましょう。
思春期の子どもにレッテルを貼らないようにしましょう。
もし話を聞いていて、自分の許容範囲を越えそうだと思ったときは、そういうときの解決策は投薬することではないと理解しているカウンセラーやセラピストを探しましょう。