子どもの心に火を灯す~子どもたちに伝えたいメッセージ~

こんばんは。ただいまご紹介にあずかりました、一尾茂疋と申します。
今ご紹介いただいたように、いろいろとやっています。

今回は成田先生とのご縁でこちらに登壇させていただくことになりました。
成田先生との出会いは・・・・

そして昨年は、様々な教育スタイル、シュタイナー、モンテッソーリなどに成田先生にご登壇いただきました。

あぁこうやって試行錯誤しながらがんばっている先生は応援したいな~と思っています。

 

さて、今回は柳生先生からお話をいただき、打ち合わせをしているなかで、いくつかのキーワードが出てきました。それが今回のタイトルにもなっています。

で、そこから、じゃぁ何をしたらいいのかな~と考えてみました。
こうやって学校のあとに、時間を割いてくれるみなさんが、来てよかったなって思えるにはどうしたらいいかな~と思いながら、来ました。

心に火を灯すか~ 心に火を灯すか~ 心に火を灯すか~

 

職員会議にて

校長先生:
さぁいよいよ運動会ですね。最近子どもたちの元気がちょっとないような気がします。ぜひ子どもたちの心に火を灯すようにがんばってください!
・・・・・・・

職員室にて

レッド:
校長先生もあぁいっていることですし、ぜひみんなで一丸となって子どもたちの心に火を灯しましょう!

みんな:そうですね!

心の中
レッド:
よし、そうだな。やっぱりここは先生である自分が引っ張っていって、子どもたちの心に火をつけよう!

ブルー:
校長先生、もう少し具体的に言ってもらわないと。とりあえず子どもたちの現状を把握してみようかな。

イエロー:
わざわざそんなことやんなくたって、楽しくやっているうちに、きっと子どもも盛り上がるよ。楽しく楽しく!

グリーン:
みんなそれぞれのペースがあるだろうし、見守ることが大事大事。きっともうちゃんと心に火はもっているはずだしね。

ピンク:
そういえば、みきちゃん、最近ちょっと元気なさそうだったな~ 今度声をかけてみよっと。

 

 

さて、こんな風にみんないろいろな考えを持っています。

もちろんどの意見が正解ということもありませんよね。

でも、もしこのままお互いが自分の思いを話さないまま、練習していったら運動会は成功すると思いますか?それともうまくいかないと思いますか。
成功すると思う人は〇を、うまくいかないと思う人は×をどこかに書いてみましょうか。

 

さぁどうでしょうか。
きっとね、どちらもちゃんとした運動会になると思いますよ。
だって、みなさん一人一人は思いをもって取り組んでいるのですから。

 

でもね、でもね、です。

ちょっともったいないような気もするんですよね。

ちゃんとした運動会にはなると思うんですが、ちょっとした何か、いろんな何かが起きるような気がするんですよね。

 

では、グループで、こんなことが起きるんじゃないかな~ということを簡単に自己紹介したあとに、話し合ってもらえますかね?やり方はこんな風です。

「こんばんは。~小の○○です。私は〇にしました。そうですね~ ちょっと指導に時間がかかっちゃうかもしれませんね~。」

 

といった感じです。

1人30秒で3分ですね。

よーい、スタート!

 

はい、ありがとうございました。

 

ちょっと聞いてみましょうか。
はい、ありがとうございました。

 

さて、今回はたまたま運動会でしたが、普段の仕事のなかでも、多かれ少なかれこういったことはありませんか?
思っていても口にださない。それは言ったところで大して変わらないだろうという考えがあったり。
話し合っても、みんなそれぞれだから、それぞれやればいいよね、で終わってしまっていたり。

 

もちろんそれが悪いといっているわけではありません。

でも、もしみんながそれぞれの違いを支える土台を共有していたとしたら、運動会はさらにいいものになると思いませんか?ということです。

 

今日の大きなテーマは3つです。

「心に火を灯す」ということについて、

1・それを支える共有する土台は何なのかということ。

2・その土台をつくるためにはどうしたらいいの?

3・なぜその土台があるといいのか。ということです。

こんなことを今日はやってみたいと思います。

 

 

さて、早速やっていきたいと思います。

今回は、「はじめての哲学的思考」というものに則ってやっていきたいと思います。

これは哲学者の苫野一徳さんの著書です。

はじめての哲学的思考 (ちくまプリマー新書)

 

まず初めに対話のときに気を付けることを2つ申し上げます。

1つ目は、一般化のワナにかからない、ということです。
これはどういうことかというと、自分が話すことが自分だけの場合や限られた場面のことに過ぎないのに、あたかもすべてのことに通じるというように話をしてしまうということです。

例えば、
クラス会議をやってみた。うまくいかなかった。クラス会議は使えない。
ほめシャワーをやってみた。うまくいった。ほめシャワーはいい。
個別対応をやってみた。うまくいった。やっぱり個別じゃないとね。

といった感じです。

本当はそこにいろいろな要因があるにもかかわらず、あたかもそれがすべてに通じるように話をしてしまうことです。

自分がそういったワナにかかってしまっていないかを確認しながらやってみるといいですね。

そうならないためには、

「~と、私が思っているだけですけどね。」

といったり、

「一般化のワナにかかっているだけかもしれませんが・・・」

と言ったりするといいですよ。

それだけでも決めつけが減って、だいぶ意見がでやすくなると思います。

 

 

次に、問いのマジックにかからないということです。
私たちは、問いを投げかけられると、考えてしまうという脳の特性があります。

だからこそ気をつけなければなりません。

 

こんな問いはどうなの?というやつです。

「やっぱり私は理論よりも経験だと思うのよね。どう思う?」

これね、どうなると思いますか。

こういう風に問われると、どちらか判断しなければいけないと思ってしまう気がしませんか。

そうすると、だんだん対話が、どちらが正解かというところにいってしまい、対立を招くところにつながってしまうかもしれないんでよね。
でも、本当はそういうことをしたいわけではないですよね。
ここで、正しい問いをしたければ、

「どのようにしたら、理論と経験をうまくつなげられると思う?」

というようなものではないでしょうか。

 

ということで、こういった、どちらが正しい?といような答えを聞くのは、あまり建設的ではないことが多いよ、ということです。

よろしいでしょうか。

 

この2つに気を付けるという前提を共有するだけで、話し合いは建設的になると私は思っています。

 

では、実際に入っていきます。


今日の哲学的対話の目標は「本質観取」です。

時間があまりないので、詳細は割愛しますが、物事をうわべだけの理解で済ますのではなくて、「本質」を掴み取ろうということです。そこに向かって話し合っていきます。

まずここで大事なことは、話し合いの場が安心安全に場である、ということです。否定されない、批判されない、みんなが一人一人の意見を大切にしていく、という雰囲気です。

今日は大丈夫だと思いますので、細かいところは省きます。

もしできていないのだとすれば、少しアイスブレイクを挟んでもいいかもしれませんね。

 

次に、今回は、真理を追究したり、辞書的な意味を当てるものではないということです。

自分たちでその本質を押さえた意味を創るということです。

 

例えば、「不安」

辞書でいえば、「悪い結果になるのではないかと思って、心が落ち着かないこと。」

でも、実際やってみたときは、こんな風になりました。

「生き抜くためにやるべきことが漠然としているときに湧き上がるネガティブな感情」

というようになりました。

もちろんこれが正解とかそういうものではないわけです。

でもその場にいた人たちが、自分たちで創り上げた「不安」の意味だということです。

 

そして、最後が、自分の体験に即して考えるということです。

「なんか~ わかんないことがあると不安になるじゃないですか~」というのは違います。

もっと具体的に自分のエピソードに基づいて話をしてください、ということです。

 

「私は大学受験に失敗したときに、とても不安になりました。私は親から大学受験は、全部で5つしか受験しちゃだめだからね、ときつく言われていました。でも受験したうち3つが落ちてしまって・・・あと1つしかない、となったときに、とても不安を感じました。」

 

というような感じです。できればワンシーンで話してもらえるといいと思います。

実はそのなかにたくさんのヒントがあったりしますからね。

 

よろしいでしょうか。

 

ではやってみましょう!
全体の流れはこうです。

問題意識を出し合う
事例を出し合う
キーワードを見つける
すべての事例の共通性を考える
最初の問題意識や疑問点に答える
本質定義!

これらをひとつずつ説明しながらいきますね。

 

まずは問題意識を出し合うです。

「心に火を灯す」に対して、おもうところをいろいろと出し合うという感じです。
たとえば、どうなったら心の火が灯ったって判断できるの?判断の仕方は?
それは誰かがつけてあげられるものなの?といった感じです。
ここでは、その問いに対する答えをする必要はありません。
いろいろな問題意識を出し合ってみてください。

まずは個人で1分間、問題意識を考えてみてください。そして、その後、一人30秒でシェアです。よろしいでしょうか。

ではまず、個人思考です。

はい、ではシェアしてください。

それぞれ簡単なメモをとってもいいかもしれませんし、だれか書記を決めてもらってもいいかもしれません。

 

次は、事例を出し合うです。

先ほどいったように、ここは、自分の経験談を話してください。できるだけ自分の心に灯ったときのことを話してください。

「私の場合はね~ 北海道に一人でいったときがあったんですよ。そのときに疲れていて、仲間にご飯を誘われて、励まされたときですかね。」

といった感じです。

あぁ確かにあのとき、心に火が灯ったな~と思ったときのことを思い出してもらいたいと思います。よろしいでしょうか。

 

では、1分間、個人思考です。いろいろと思い出してみてください。

 

さて、よろしいですか?思いつきましたか? なにかしらあったんじゃないですかね?
とりあえず進めますね。

もし思いつかなかった方は、とりあえずパスをして、ぜひほかの方の話を聞いてもらって、ないか思いついたら、いってみてくださいね。

 

はい、ではそれをシェアしてもらいたいと思います。1人30秒くらいですかね。とりあええずそれで回してみたいと思います。みなさんは、それぞれにメモするなり、共有するなりしてみてくださいね。

 

さて、次ですが、ここからがいろいろと話し合いですかね。

カテゴリー分けと共通点探しです。

今いろいろな事例がでたと思います。それを自分たちなりに分類分けしてみてください。
自分たちなりにカテゴリーをつくってみてもいいかもしれません。部活、とか恋愛とか、金銭とか。そして、そのカテゴリーに共通するものをみんなで見つけてほしいわけです。

たとえば、部活、だとすれば、人間関係、失敗経験、成功体験、なにかはわかりませんが、そのカテゴリーに共通するなにかをいくつか見つけてみてください。

かなり抽象的になるかもしれませんが、それでもOKです。そして、それが終わったら、今度は全体を見渡して、共通性を考えてもらいたいわけです。

 

で、この3,4をやりながら、考えることはこんなことです。

本質定義・・・本質をある程度短い文章で言い表したもの。

疑似概念との違い・・・心に火が灯ると、火が付いた、は何が違うのか、やる気とはなにが違うのか、おしりに火がつくとは何が違うのか、こんな感じで、心に火がつくと似たものとなにが違うのかということをいろいろと話し合ってみてください。

本質特徴とは、その要素を抜いたら、絶対にそれが成り立たないというものです。たとえば「不安」だとすれば、ネガティブ、というものを抜いたら成り立たない、というようなものです。

発生的本質とは、それがどういうときに、どういうプロセスで発生するのかということです。
こんなことを考えるための材料として使ってみてください。

 

そしてある程度まとまって、本質定義ができたな、と思ったら、その本質定義が、最初の問題意識や疑問点にすべて答えられるかということを試してみてください。

そして、うん、これなら耐えられるという本質定義にまとめてみてください。

これを15分でやってもらいたいと思います。最後までやり切ってくださいね。
では、どうぞ!

 

 

 

さて、どんな本質定義ができたでしょうか?
聞いてみましょう。

はい、ありがとうございました。

 

 

 

今回の講座内容はこれで終了です。

最初のお話した3つのテーマ

1・「心に火を灯す」ということについて共有すべき土台。いかがでしたでしょうか。

2・その土台を作るための対話のやり方、どうでしたでしょうか。

3・土台があるとどんないいことがあるといいのか。どうでしたでしょうか。

 

 

最後に、今回の講座で、学んだこと、気づいたことを振り返ってみましょう。

自分が感じたこと、なぜそう感じたと思うのか、なにに気づいたのか、なにをしているときにその気づきがあったのか、そして、何を学んだのか。
さらに、その学んだことをこれから生かしていくとしたら、どんなときなのかということを振り返ってみてください。

では、各グループでシェアです。

 

はい、ありがとうございました。

いかがでしたでしょうか。
今日は人数が多いので、みなさんが何をどのように感じ、どのように考えたのかを直接お聞きすることはできません。

でも、こうやってみんなで本質的な土台をみんなでつくっていくなかで、お互いの理解が深まり、きっと今まで以上に素晴らしい仕事を成し遂げることができると信じて疑いません。

 

確かに少し手間かもしれません。でも、こういう本質的なところを共有しているのと、しないのとでは、出せる成果は少なくとも10倍は違うと思います。

これは学校だけでもなく、私が経験してきた会社でもそうでした。一般化のワナにかかっているかもしれませんがwww

 

私は、今の社会を変えることができる可能性を持っている唯一の場所は学校だと信じています。

そして、その可能性を花開かせるのは、そこで働いている先生方だと思っています。

そして、こういった土台の上で活動することで、みなさんの持っている力が十二分に発揮できると思っています。

それが今日の3つ目の、土台があるととてもいいこと、です。

私にできることは多くはないかもしれませんが、これからも皆さんのことを全力で応援していきます。

今日はありがとうございました。

 

~感想 一部抜粋~

・多様な意見を持った方と関わることができてとても勉強になった。日頃の指導を振り返るいい機会でした。
・答えのない問いを考えるのは難しかった。でも考える楽しさを実感できました。
・職員会議や学年会でも意識したい内容でした。
・答えがない発問の答えを探すことの不安を実感しました。
・聞き方名人「あいうえお」は明日から使いたい。
・「子どもの心に火を灯す」とは子どもと周りの大人が気持ちのベクトルをそろえることだと思った。
・本日の研修を通して,自分の心に灯がともったような気がする。
・講演の中で「答えがないから楽しい」という言葉が強く印象に残った。私も授業内で答えがない発問をしますが,子どもはこんなに不安な気持ちだったのだと実感することができました。
・話が聞くだけでなく,自分も考える内容だったので,時間を感じず楽しく学ぶことができた。
・道徳のオープンエンドはこのような形なのかなと思った。
・脳をたくさん動かして,気持ちのよい疲れで帰ります。