結末と責任を理解するために失敗を使う

Positive Discipline for Teenagers, Revised 3rd Edition: Empowering Your Teens and Yourself Through Kind and Firm Parenting

こつこつ訳しています。現在第4章終盤です。あと2回くらいで終わるかな。 全14章

 

結末と責任を理解するために失敗を使う

 

失敗そのものにこだわることで、評価や罪の意識をずっと持ち続ける代わりに、彼らが決定したことに対して、何を考えたのか、何を感じたのか、ということを自分で考えることができるように手助けをしましょう。

 

そうすることで、次のときのやり方や結果が変わってくるかもしれません。

 

これはあなた自身の失敗を次に生かすために同じプロセスを使うことをできます。

 

 

次の例は、ワークショップで、思春期の子供がいるベッキーの例です。

 

「一体何ができるのでしょうか。

私は失敗してしまったのです。

私の16歳の子どもは、勉強に集中しませんでした。

彼女は成績はCで十分だというのです。

もし、成績が上がらなかったとしても、自分の行きたいと思っている大学にはいけるというのです。

しかし、私は彼女に、宿題を終らせて、すべてしっかり終わることができたかどうかを私が確認するまでは、なにもしてはいけない、といいました。

彼女は合意しましたが、いざ確認のときになると、なかなか集中できなくて、終わっていないといいました。

彼女は解決すべき課題がありましたが、彼女は関わらないでほしいといっているように思いました。
私は彼女に言いました。

“なんとか逃れることができると思っているじゃない?でも、ここに座って宿題を終らせるまでは、友だちの家にはいけないわよ。”

彼女は1時間ほどテーブルに座って落書きをしたりしていました。

すごく不機嫌で悲しそうな顔をしていました。

私たちは二人も哀しかったのです。

 

その後、彼女は私にこんなメモを残していました。

“私は全然お母さんのこと好きじゃない。”

私は誤ったことをしたと分かっていました。

私はただ彼女を脅しただけで、ポジティブ・ディシプリンを使っていないことは明白でしたが、私がほかになにができたのかわかりません。

 

 

ファシリテーターは答えました。

思い出してください。

失敗は学びの素晴らしい機会なのです。

この状況を“誤った”と捉えるのはやめましょう。

その代わり、あなたは本当はどうしたかったのか、でも、実際はなにが起こったのか、なんでそんな風になってしまったのか、そして、次にどうしたら今回とは違った態度がとれるか、ということを考えてみましょう。

 

 

ベッキーとファシリテーターはよりよい解決策を考えるために、次の質問を復習してみました。

 

ファシリテーター:なぜあなたは娘によい成績をとってほしいの?
ベッキー:彼女が大学へいくことはとても重要なことだと思うの。

なぜかというと、私はいけなくて、その機会を逃してしまったから。彼女にその機会を逃してほしくないの。

 

ファシリテーター:彼女はあなたの言いたいことを受け取っているとおもう?

特にその機会を逃してほしくないということを。

 

ベッキー:えぇと、伝わってないと思う。

 

ファシリテーター:ではそれは一旦脇に置いておいて。どうしたらいいかという提案を持ったら、また戻って考えましょう。

では、なんで彼女はもっといい成績が取ることができるのに、Cでいいと思っていると思いますか?

 

ベッキー:彼女は大学に行くよりも、地域に関わることをやりたいと思っていると思うの。

実際に、たくさんの地域プロジェクトに参加しているし。

 

ファシリテーター:今まで、自分が大切だと思っている所に子どもにも目を向けてもらいたいって感じていたってことはない?

 

ベッキー:はい、あると思うわ。

 

ファシリテーター:あなたとあなたの娘さんにとって大切な事を飛び越してしまって、悪循環をさらに加速させる権力闘争になってしまっているのは、わかる?

 

ベッキー:わかるわ。

友達の家に遊びに行かないように脅したとき、ひどく悪いなと思ったわ。

私は、その女の子たちが、地域で寄付をしてくれそうなところのリストを作るって知っていたから特にそう感じたわ。

でも、それはさせなかった。そのときは私は勝ったけれど、結局やり返されたわね。

メモ書きをみたとき、ひどく傷ついたし、すごく不満だったから。

 

ファシリテーター:いままでのことを振り返って、今回私たちが学んだ原則ややり方を今回の状況にあてはめるとしたら、なにができるかしら。

 

ベッキー:なにも思いつかないわ。もうどうしたらいいかわからない。

私がやれそうな論理的結末も思いつかない。

 

ファシリテータ-:いいわよ!

ひとつも考えられないといったけど、少なくとも論理的結末は今回のケースでは適用されないってことがわかったわけね。

前にもいったと思うけれど、子どもが不適切な行動をしたときに、論理的結末を使うことに執着してしまうことがよくあるけれど、実際は、それは論理的結末という言葉だけで、実際は罰を与えてしまっているということがあるの。

ちゃんと相手に自分の愛が伝わっているかどうか、あなたの希望はなんなのか共有すること、彼女が望んでいることを理解するために彼女の見えている世界に入り込んでみることを試してみてはどう?

それから、お互いが得たいものを得られるようなプランはないかをいっしょに考えるの。

どんな感じかロールプレイをしてやってみる?

 

ベッキー:ぜひ

 

ファシリテーター:わかったわ。あなたが娘役。私がお母さん役でどう?

 

ベッキー:いいわ。今はそのほうがやりやすいと思う。

 

ファシリテーター:では、あなたの娘さんがいったことから始めましょうか。

 

 

 

ベッキー(娘役):お母さん、私は学校でCよりもいい成績を取ることは私にとってそれほど大事なことじゃないの。

 

ファシリテーター(母役):私にとっては、あなたが行きたいと思っている大学にいけるだけの成績をとることは、とても大事だと思っているの。

 

ベッキー(娘役):私もそう思ってるわ。でも、グーグルで調べたら、成績よりも、地域活動に参加したほうがいいって入学要綱に書いてあったわ。

だから、私の願書にたくさんの地域活動を書けるようにしているの。

 

ファシリテーター(母役):そうなのね。大学に入るにはなにが必要かということを自分で考えて調べているって聞いて、うれしいわ。

あなたがなんのために大学にいくのかということをもう少し教えてくれる?

私は、あなたが成績をBやAにできるのに、Cのままでいることで、そのチャンスを逃してしまうことはとても嫌なのよ。

もしあなたがよければ、進路指導の先生と私たち二人で話す機会を持って、あなたの調査に同意できるかどうか確認してもいいかしら。

進路指導の先生は、今までたくさんの子どもを大学に入れて来たし、過去にもたくさんの選択を手助けしたと思うわ。

実際にそういうことに関わってきたことで、本当に何をしたらいいのかということを知ることができると思うの。

それから、次の家族会議で、お互いが得たいものを得られるようなプランをいっしょに考えるというのはどうかしら。

 

ベッキー(娘役):いいわよ。ありがとう、お母さん

 

 

 

ファシリテーター:さて、娘役としてやってみて、娘としての感想はどう?

 

ベッキー:愛されていると感じたし、一人の人間として大切にされているな、と思ったし、家族会議でいっしょに考えてみようと思ったわ。

 

ファシリテーター:権力争いと悪循環から、本来あるべき道にもどったように思うわ。この道は、娘さんに人生において有効な、認知するということや、ライフスキルを教えている一方で、みんなが得たいものを得られる道ではないかしら。

 

 

 

次のリストは、親が、権力闘争や反抗、悪循環につながってしまいそうな失敗をしてしまったあとに、お互いの理解やコミュニケーションを改善する助けとなる認識の仕方やスキルのリストです。(つづく・・・・)