コツコツ訳しています。前々回から第4章「失敗を素晴らしい学びの機会にするためには?」です。(全14章)
好奇心からの問い
親がやってしまいがちなよくある失敗は、話す、話す、話す、言う、言う、言う、ということです。
子どもたちは失敗したとき、ほとんどの親は、子どもに、何が起きたのか、なんで起きたのか、それについてどのように感じるべきなのか、そして、何をすべきなのかということを伝えます。
そして、“これも勉強のうちだから”といって罰のようなものを子どもに課します。
親がもし伝えることをやめて、聞くことを始めれば、子どもが学ぶ機会となるでしょう。
私(著者のジェーン・ネルセンの好きな事例として、私の末娘、メアリーの話があります。
彼女は私に、9年生の卒業パーティーでお酒を飲む予定よ!とアナウンスしました。
思わず
“だめよ!それがどんな危険なことか分かってる?
人生をだめにしたいの?
もしそんなことをしたら、1か月は外出禁止になるでしょうし、あなたが持っている権利を失ってしまうことになるわよ!”
と言いたくなりましたが、いいませんでした。
代わりに、深呼吸をして、言いました。
“もうちょっとそのことについて教えてくれるかな。なぜそういうことをしようと思うの?”
メアリー:みんなやっているし、みんな楽しそうなの。
私:その子たちは、もしあなたがお酒を飲まなかったらなんて言うと思う?
メアリーはそのことについて考えました。(もちろんこの場面では、あなたが心からそれを聞きたいと思っていないといけませんし、相手がそれを分かっている必要があります。相手がわかっているかどうかは、相手の表情を見ればわかります。ちゃんと伝わっていれば、考えている表情になります。)
メアリー:みんなはいつも私のことをよくいってくれてるわ。
私:みんなはあなたに飲むように勧めてくるの?
メアリー:そんなことはないわ。時々そういうことはあるけれど、私がいらないといったら、無理に勧めることはないわ。ただ、今回は試してみようと私が決めたの。
私:もしあなたがお酒を飲んで、酔っぱらったら、みんなは何と言うと思う?
メアリー:うーーーーん、きっとがっかりするわ。
私:みんながそう思うことについて、あなたはどう思うの?
メアリー:[長い思考のあと] たぶん、だめだなぁって思うと思う。(一息おいて)やっぱりやめるわ。
私:よい決断じゃないかしら。私は、あなたがみんなにつられる代わりに自分の人生をどのようにしたいかということを考えらえると信じているわ。(えぇ確かにちょっと説教くさくなりましたが、どうやら彼女には説教には聞こえなかったようでした。)
心からでる「なんで?」は彼らに罰を課す代わりに、自分のとった選択の結果についていろいろと考える機会を与えます。
数年後、メアリーは私に言いました。
彼女は本当は飲みたくはなかったけれど、何回かお酒を飲もうとしたの、でも、やっぱり飲みたくはなかったし、結局飲まないって決めたの。彼女の友達は、そのうち慣れるわよ、といったそうdせうが、彼女は“なんで私がなれなきゃいけないの?”と思ったそうです。
子どもたち自身に自分のことを考えてもらうことは、陰で何かをやったり、反抗したりすることよりもずいぶんよいことです。
すべての子どもから、すべてのアルコールを取り除くことは不可能です。
結局、親になれば、付き合いで飲んだりするわけですから。
子どもたちに、責任のある飲み方と無責任な飲み方について考えることを手助けしたほうがいいと思いませんか?
心からでる「なんで?」という質問は、あなたが本当に子どもが今考えていること、感じていること、学んでいることに好奇心を抱いているときのみ、効果的です。
もしあなたが焦っているときだったら、うまくいかないでしょう。
なにか質問をする前に、落ち着くまで時間を取りましょう。
“ちょっと今は焦ってしまっているの。でも、あなたのことは愛しているし、私が落ち着いたら、いっしょに考えてくれるかな?”
ということは効果的です。
その問題を定期的に開かれている家族会議の議題にすることもよいでしょう。
そして、その話し合いのときに、みんなで共有して、解決のためのブレインストーミングをするのもよいでしょう。