子どもを思い通りにしようとすると、子どもの存在価値を消失させる

古い習慣を変えるのは難しい 

パート2

ポジティブ・ディシプリンは、世界は甘いところだというつもりはありません。

また、あなたが子供に幸せになってもらいたいという望みを否定するものでもありません。

 

ポジティブディシプリンは親が思春期の子どもと関わる時に、協力的に、かつ、効果的に子どもから大人になっていく手助けをするための子育て法です。

 

しかし、ひどい経済状況のことなどを耳にすると、親は、いい成績をとることをよしと考えたり(たとえそれが、罰や甘い言葉で勉強をさせた結果だったり、親が代わりにレポートを書いたとしても)、なんの汚点もない評価をよいことだと考えたりします。(たとえそれがただ厳しい管理下に置いただけだったり、嘘をついてアリバイをでっちあげたりすることで成し遂げられたとしても)

 

そして、子どもがそれぞれのペースで成長していくことや間違いの中から学んでいくことよりも成績や評価を大切にしてしまう誘惑にかられます。

しかし、これは、短期的な視点といえます。

 

もし、責任あるやり方で、意味があり満たされるということはどういうことかということを追求するやり方、つまり、失敗から学ぶということを、彼ら自身が彼ら自身のために学ぶことができないとしたら、たとえ成績がよかったとしても、その生徒にとってはまったく意味のないものになるでしょう。

 

親は、恐怖、評価を気にしすぎると、あっという間に自分が誰の味方をしているのかを忘れてしまいます。

そして、自分でやろうとしてしまいます。

ただ、そういうとき、自分が慣れ親しんでいる子育てのやり方に戻ってしまうことは、ごく自然なことだと言えます。(子育てスタイルについては第3章で詳しく述べるので、ここでは簡単に紹介しておきましょう。)

 

コントロールを好む親は、批判し、叱り、説教をし、正し、要求し、やりこめ、失望した表情を見せます。

その結果、子どもたちは、サポートされていないと思ったり、愛されていないと思ったりします。

子どもたちは、親の愛というのは条件付きなのだということを経験します。

子どもたちは、親が自分の味方でいてくれるときは、親がいうことを正確にやったときだけだということを信じるようになります。

これは、存在価値を失わせてしまいます。

いったいどうやったら、親が望むものをやりつつ、自分がなにをしたいのか、どうなりたいのかということを同時に発見することができるでしょう。(通常、反抗は、親に対してではなく、彼ら自身に対して起こるものです。親がコントロールしすぎなければ。)