小,中,高を通じて必要な資質能力を語り合う会セミナー
【構成】
・会の目的
・小学校の部(各部、およそ2時間ずつ)
2名の先生が、互いに10分~15分程度、自分の実践や考えていることを発表し、その後二人で対談。
・中学校の部
2名の先生が、会場をある程度実際の教室と見立てて、授業風に進行。
・高校の部
2名の先生。1名の先生が発表を行い、もう1名の先生が、発表している先生に自分の疑問に思っていることを随時投げかける。最後に中学校の先生に聞きたいことを聞くということで、3名が登壇。
・まとめとリフレクション
【構成に対する感想】
2名ずつでて、対談も入れるというのは、ライブ感があり好きな感じ。登壇する先生たちはどんな流れになるか分かりにくいので大変かもしれないし、聴く方もどこに話が流れていくかわからないので、聴きにくいかもしれないが、セミナーとはいえ、語り合うということは、そこに何が起こるかわからないということを前提に参加しているので、参加者はなんとかくらいついていく必要がある。「語り合う」わけだから、ここで何か答えをもらえるというスタンスでは不可。
「語り合う」というところで不確定要素が多いだけに、全体の流れはある程度統一してもいいかもしれないな、と思った。やってみないとわからないけど。
【主旨の説明】
赤坂先生より。さまざまな細かいギャグ以外はあまり覚えていないのだが(笑)
・3つのキーコンピテンシー
このなかで、今までは特に右下のところに注力してきた。ただ、これからはそれだけでは足りない。それが打ち出されている。
・OSとアプリ
学級づくり(人間関係づくり)をOSとするなら、授業はアプリ。
今まではアプリに力を注いできたが、今後のアクティブラーニングをベースにする学び方である場合、OSにしっかりと注力しなければいけない。
しかし、この点は現在の管理職にいる多くの先生たちにはわかりにくい感覚かもしれない。それらの先生の大半のOSは、「黙って静かに聞きなさい!」「はい」OS。
それでは、とてもではないがアクティブラーニング的学習は難しいだろう。
学習が学習者の手に委ねられることが多いアクティブラーニングでは、その通りだと思う。ただ、そこは、年齢は関係ない気がする。若くても、やはりその人の脳がそのようなOSになっていることは多々ある。年齢に囚われずに、しっかりと伝えていく必要があるだろう。
いつも通り、笑いあり、鋭い突っ込みあり、知的好奇心をくすぐられるスタートでした。
【小学の部】
松下先生と阿部先生
今回のタイトルをベースに考えると、松下先生のお話された資質・能力は、「問題解決能力」、阿部先生は「汎用的能力」
なぜそこに注目するに至ったかという経緯と、その実践方法を。
松下先生は、普段の日常の学校生活から、問題解決能力に注目し、主にクラス会議の実践をしている。
阿部先生は、文部科学省のまとめ?を観て、キャリア教育及び、基礎的・汎用的能力についての記述の割合が非常に多い、というところから、汎用的能力に注目。実践方法としてペアトークをあげた。
また、さかなくんの文章の紹介もあった。
そして、それぞれがその流れを15分程度で区切りつつ、お互いに質問を投げかけあったりしていた。
【中学の部】
久下先生と海見先生
ここであげられた資質・能力は「知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性」
当然といえば、当然なのだが、学習指導要綱に則って。
今回の講座では、二人とも普段の授業のなかで行っていることをできる範囲で再現した流れだった。
前半は海見先生を中心に。
いろいろな問いを投げかけ、交わらせ、考えさせる。要は、ここであげられた資質・能力はいつでも育むことができる、ということを。
後半は久下先生を中心に。
特に、人間性に注目。疑問を持つこと、ある一定の意見を持つこと。その違いのなかで、どのように折り合いをつけていくのか?ということを。
久下先生は、校則についての事例を取り上げた。みんな通っている道のハズだが、のど元過ぎれば、で、結構それを忘れてしまっているのか、久々に聞いた中学校の校則にもやもや~な空気感が漂っていた気がする。ここをあえて取り上げた久下先生はすばらしいと思う。みんなが同調するような内容を投げかけても、アクティブラーニングにはなりにくい。
【高校の部】
片桐先生と今井先生
片桐先生がメインで発表をし、その合間合間で今井先生が、自分が聞いていて疑問に思ったことを投げかける、といったスタイル。
高校は特にすでに分化されている状態なので、それぞれの高校によって目の前の目標が違っていて、その目標達成のみに注目がいってしまっているというところの課題を感じられているのではないかな、ということ。
ここでいう資質能力は、「市民」という言葉がキーワードだった。
最後に片桐先生から中学の部の海見先生に「こんなこと、聞いてみたい!」ということで、質問タイム。
私としては、これがとてもよかった。せっかく小中高の先生が集まったのだから、そこをリンクする時間があることはとても意義深いことだった。
また、質問もおもしろかった。
「中学校では、高校をどういうところだと教えているの?」
「中学校の先生は、高校の先生のことをどう思っているの?」といった、非常に素朴であり、率直であり、なおかつ、わかったようでいて、実は実際に聞いたことがないような質問ばかりだった。
【全体の感想】
上記はかなりざっくりとした内容であって、本来はもっとたくさんの内容であることはご了承ください。
・やはり既存の学校システムでは限界がある。
この感想は、阿部先生がさかなくんの文章を紹介したときに感じたことだ。ぜひリンク先を見てもらいたいが、一部抜粋で。
「広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。」
今は一般的にも実質的にも学校教育は1つしかありません。そんななかでは、やはり生徒同士だけではなく、教師同士、親同士がある種「いじめ」のような行動をしてしまうのは当然なのかな、と思って聴いていました。
なぜそう思ったかというと、基本がすべて「雇用社会において」というものが貫かれていた気がしたからです。
・高校教育
ここはずっと疑問に思っている。なんのためにあるのか。多少の答えはでてきているものの、やはりまだその意義がはっきりしない。義務教育ではないといいながら、進学率をみると、もう義務教育といっていいくらい。こういうシステムと現実の乖離にいろいろな問題を発生させるものがあるかもしれない。
また、根底に流れれる「学歴至上主義」が拭われない限り、普通科の高校での取り組みは大きく違ったものにはならないかもしれない。ただ、これは高校だけの問題ではなく、社会全体のことでもある。「ないよりあるほうがいい」という思考だけに囚われないような教育が必要だと思う。
・考える
どの取り組みにしろ、ちゃんと「考える」ということをしなければいけない。
「手段の目的化」という言葉が何度もでてきた。これはなんにでも当てはまる、
クラス会議、ペアトーク、中学校の厳しすぎる校則(運動靴指定、髪型指定などなど)、高校へ通学すること自体、また、大学に行くことなどなど。ちょっと気を抜くと、これらの手段が目的になってしまうことがある。
ある一定のときに、「なんのために?」ということを考える機会を持つことはダイジだと感じた。
・それぞれのステージで
資質、能力はある程度絞られている。今後すべきことは以下の2つだと思う。
1・その「資質・能力」の意味するところはなんだろう?と話し合うこと。かなり抽象的な言葉でくくられているので、そこを具体的に話し合うことが大事だと思う。思考力ってなに?表現力ってなに?人間性って?
もちろん答えを出すとかそういうことではなく、お互いがお互いを理解するために。その理解し合うプロセスに意味があると思う。
2・それぞれの校種だからこそできる実践を考えていくということ。ただ、これはある程度実践されていることもたくさんあるだろうから、それぞれの実践をちゃんと目標に向かって紐づけていくこと、また振り返り、それが効果的かどうかを考えていくことが大事なんだと思う。また、そこには、一貫して行われることがあってもいいと思う。定点観測的な役割を果たせるような。
なぜそう思ったかというと、それぞれの発表者を観たときに、みんなそれぞれの校種の特徴がにじみ出ていたような気がしたから。そうやって職場の雰囲気がにじみ出てしまうくらいの強い特徴があるということを考えると、それをどう生かすかということがとても大切だと感じたから。
・相互理解
今回、小学校の先生~高校の先生が適度な割合で集まった。普段、自分が講座をやるときやセミナーをやるときにでも常に心掛けていることだが、やはり多様性は間違いなく何かを生み出す。今回もそれを強く感じた。
現在瀬戸市では小中一貫校の創立に向けて取り組まれているが、なにが一貫しているのか?と聞かれたときに、今日やったような話し合いが行われ、手法や捉え方は違うかもしれないけれど、明らかに目標に向けて取り組めているな、というところが大事なんだと思った。
小中一貫校では、同じ敷地で学校生活を送るということが非常に大きなメリットではある。ただ一緒にいるだけで、今までとは違ったものは確実に生まれる。
では、そうではないところで、何を一貫させるかということを考えると、一番可能なのは、この目標の一貫性だと思った。
ただ、一方で、多様性ということを踏まえると、やはり、それともう一つ別の教育システムがあることは非常に大事だとも感じた。
そういう根幹が違うものが2つ以上あってこその民主主義のような気がするから。
少し話が飛んでしまったが、やはり「相互理解」を深めるために話し合うことはとても大切だと思った。
今回は、小~高だったけれども、実際は、教育はすでに生まれたときから始まっている。
幼保、小、中、高、大(ここは先生ではなく、キャリアセンターでもいいかもしれない)、会社の人事の連なりでもいいかもしれない。
もちろんそこに当事者である子どもたちも入れて。
あれ、これって結局、地域の話し合いということになるよね。
そう考えると、地域の中心として万人がある程度の知識や経験を持っている「学校」というものは非常によいツールになるような気がしている。
あ、そして、地域とつながるってところでは、もう無理やりでもつなげないといけないかもしれない。
変な研修しているよりも、
「では、みなさん1か月に1度、保護者(最初は校区外のほうがいいかもしれないが)父2名、母2名、合計5名で飲み会をするように」的な(笑)
年間8回やったとして、32名。これ、かなり意義深いような気がする。
きっと親だってお願いされれば、嫌な気はしないと思うんだよな~~
なんて妄想を(笑)
最後はかなり散漫になってしまったけれど、いろいろと意義深い会だった。
たくさんの先生方にお会いできたことも非常にうれしい出来事だった。
事務局の方ありがとうございました。
赤坂先生、ありがとうございました!