“ほかには?”と聞く

Positive Discipline for Teenagers, Revised 3rd Edition: Empowering Your Teens and Yourself Through Kind and Firm Parenting

 

“ほかになにかある?”と聞くことは、あなたの好奇心の態度に働きかけます。

 

あまりにもしばしば、親は子供の最初のちょっとした情報を聞いただけで、それが、まったく大事なこととは関係ないにも関わらず、過剰に反応しすぎます。

 

表面上の情報に反応したい誘惑を避け、代わりに、こんな風に問い続けてみましょう。

 

“ほかにあなたをいらいらさせていることはある?そのことに関して言いたいことはほかにある?”

 

十分にひきだせるだけ好奇心を持つことで、さらに多くの情報をえることができます。最初はぎこちなかったり、詮索好きのように感じられるかもしれませんが、練習し続けましょう。一旦、そのぎこちなさを克服したのであれば、より自然な感じになっていくでしょう。あなた自身も自分が本当に好奇心を持っていること、興味があることがわかってくるでしょう。

 

 

アデールは、13歳の子どもとの話をシェアしてくれました。彼女と娘で友達の家を訪れたときのことです。アデールは娘に、小さい子どもたちの世話をしてくれるようにお願いしました。アデールは、子どもの意志を最初に確認しませんでした。そのとき、彼女の娘は、いままでのたくさんの同じような状況を思い出しました。

 

アデールは、娘が必要としていることに対しては、いつも気を配っていましたが、時々忘れてしましました。

 

家に帰る途中、娘が不機嫌で沈んでいる様子に気づき、尋ねました。

 

“どうかした?”

 

彼女の娘は怒って答えました。

 

“なにもないわよ。お母さんはいつも通りにしただけなんだから。私に子どもたちの世話をお願いしていいかどうか聞かずにやらせたのよ。”

 

 

アデールは、自分が間違いを犯したことに気づきましたが、彼女の娘は謝罪を受け取る前にちょっと間を置く必要があるといいました。だから、アデールは、待つことを決めて、この会話の続きはあとですることにしました。

 

その夜、アデールは、ベッドに座っていいかどうかを娘に尋ねました。

 

“どうぞ”

 

と言われたので、彼女の髪をとかし始めました。アデールが、

 

“人生はなかなか難しいわよね。特に自分のことを理解してもらえないと感じたときは。”

 

というと、娘の頬には涙がつたいました。

 

 

数分後、彼女は言いました。

 

“あなたに最初に意志を確認せずにお手伝いさせてしまったことが、とても尊敬の念に欠いていたということを謝りたいわ。私は失敗してしまったわ。”

 

“それだけじゃないの、お母さん。”

 

“なに?”

 

アデールは尋ねました。

 

“断ることがとても恥ずかしいことだと思ってしまうの。”

 

“ほかには?”

 

“もし放課後に子どもたちの面倒を見ていたら、宿題が終わるかどうかわからないの。”

 

“ほかには?”

“子どもたちを世話するのは難しいの、言うことを聞いてくれないし。だから彼女の子どもたちの面倒を見るのは嫌なの。”

 

アデールは、うなずいて言いました。

 

“あなたの気持ちを話してくれてありがとう。もしよければ、明日友達に電話をして、私が間違いをしてしまったことを話すわ。どうかな、考えておいてくれる?”

 

彼女の娘は答えました。

 

“いいわ、でもたぶん大丈夫よ。明日の朝またどうしてほしいかを言うね。お休み、お母さん。”

 

 

アデールはコミュニケーションにおいて、大切な事をいくつも示してくれました。

彼女の機嫌が悪いことに対して、なにが起こったか話すべき、という代わりに、その状況が落ち着くまで待ちました。

 

それから、ベッドの部屋に何気なく行きました。

 

もしアデールが、それについて話すように要求していたら、彼女の娘は、きっとこれは説教や罰のサインに違いないと思ってしまっていたでしょう。

 

 

アデールは、彼女が信じていることを伝えようとするよりも、彼女が信じていることと共に生きていくほうが効果的だと気づきました。

 

彼女は彼女の娘とよいコミュニケーションを取りたかったのです。

 

だから、まずはよりよりコミュニケーションを取れるように取り組むことが最初にすることでした。

 

その長い過程のなかで、このアプローチの意味するところは、子どもは親の説教を聞くよりも、親がとっている行動を見る方が好きだということが理解できました。

 

彼らは、短期的な視点でみると、あなたの話すことに反抗しているように感じるかもしれませが、あなたが冷静に、そして、尊敬の念に満ちた状態であなたが信じていることに基づいて過ごしていると、彼らが大人になったときに、そのうちのいくつかの価値観に沿って生きていることに気づき、うれしい気持ちになるでしょう。

 

アデールは、

適切な時を待ちました。

彼女の失敗を謝りました。

彼女の娘の感情をジャッジしたり、直そうとしたり、変えようとすることなく、耳を傾けました。