あなたの頭に思い浮かぶ「問い」が、向かっている方向を教えてくれる。

Positive Discipline for Teenagers, Revised 3rd Edition: Empowering Your Teens and Yourself Through Kind and Firm Parenting

コツコツ訳しています。全14章。現在第3章「あなたの子育てスタイルは?」のまとめです。

子育てスタイルを変えることは難しい

 

子育てスタイルを変えることは、まったく新しい言語を学ぶくらい難しいことです。

 

多くの親は、“当たり前”と呼ばれる文化のなかに生きています。

 

最近の“当たり前”は、詳細のいたるところまで子どもを管理するということです。

 

時々こういった子育てスタイルのことを、“ヘリコプターペアレンティング”と呼びます。

 

ほとんどの親は、ほとんどの学校で行われている躾方法、すなわち、賞罰に基づいたものに従っています。

 

ほんの少数ですが、ポジティブ・ディシプリンのような子育て法をとっている親もいます。

 

あなたがこの新しい子育て法にチャレンジすると、違う世界に足を踏み入れてしまったように思うかもしれません。

 

多くの人はあなたを、信頼できない人と判断するかもしれません。

 

また、あなたの子どもでさえ、自分が責任を取れるようにサポートすることをやめてほしいとお願いし、以前ように罰を与えてくれれば、今まで通り生活できるから、といってくるかもしれません。

 

子育て法を変えることは、このような抵抗を打ち勝つための3つのステップを必要とします。

 

 

 

1つ目は、なぜそれが効果的な考えなのかを理解することです。

 

あなたはこの章と前の章で、“なぜ”を学びました。

 

ただ、理解したとしても、古いパターンを変えることは難しいのです。

 

それは、理解だけではなく、ものの見方・考え方を大きく変える必要があります。(パラダイムシフト)

 

あなた自身も子どもたちも新しく、そして、今までとは違った部分に光を当て、その部分を見る必要があります。

 

 

 

2つ目は、古いパターンの代わりに、効果的な子育てのスキルを学ぶことです。

 
このステップは言うほど簡単ではありません。

 

使い慣れた方法とは違うやり方にチャレンジすることに対して、あなた自身が反発を感じてしまうかもしれません。

 

たとえその反発が効果的でないとしても。

 

 

そうなったとしても、自分自身を責めないでください。

 

そして、失敗から学び、あなたの新しいやり方やスキルを練習することを選んでください。

 
ミスをしたとしても、自分を、子どもを、責めないことはとても大切なことです。

 

このことは第4章でより学ぶことでしょう。

 

 

 

3つ目は、コントロールを手放すことは、恐怖であるということを知っておくことです。

 

 

これは、ポジティブ・ディシプリンを学んでいるときや、そのカウンセリングのときに明白になります。

 

私たちはレクチャーのなかで、なぜ古い方法だとうまくいかないのかを理解してもらうことに時間を使い、新しいスキルを学んでもらうことを伝えます。そして、コントロールするということがいかに幻想であるかということを伝えます。

 

 

参加している皆さんは大きく頷きながら話を聞いてくれるのですが、誰かが尋ねるわけです。

 

“でも~については、私は何をしたらいいですか?”

 

と。

 

そんなときに、ひそかに唸ってしまうわけです。

 

その状況でにおいてどうすればいいかは、すでに少なくとも6つくらいは伝えたのに、分かっていなかったのかしら、と。

 
もちろん、大きな声に出して言うわけではありませんが、そういった質問はいつも私たちを考えこませます。

 

なぜわからないのかしら、と。

 

 

 

このことからも分かるように、私たちは、変化することは簡単ではないということをすぐに忘れてしまうようです。

 

新しいやり方を身に付けることは時間がかかりますし、練習も必要です。

 

また、たくさんの失敗から学ぶことも必要です。

 

多くの親たちが、たくさんの誤った問いをしていることに気づきます。

 

その問い持っているうちは、ポジティブ・ディシプリンがうまくいくことはないでしょう。

 

 

誤った問い(その場しのぎの問い)
1・どうやったら私の言うことに注意を向けるのでしょうか。

 

2・どうやったら“だめだ”ということを理解させることができるでしょうか。

 

3・どうやったら私の言うことを聞くでしょうか。

 

4・どうやったら協力し、私の言ったことをやるでしょうか。

 

5・どうやったら私は子どもをやる気にさせられるでしょうか。(言い換えれば、私が一番いいと思っていることに対して、ということ)

 

6・どうやったらこの問題を避けられるでしょうか

 

7・この場合は、どういった賞罰を与えればよいでしょうか。

 

8・新しい子育てのやり方を思い出せない時、私の何がだめなのでしょうか

 

9・これはどれくらいの時間がかかるものなのでしょうか。

 

 

これらの質問は、当たり前の質問だと思う人もいるでしょう。

 

しかし、もしそう思うなら、あなたはまだ目の前だけをなんとかしようとしている子育てマインドを持っているといってもいえるかもしれません。

 

 

以下の質問が、あなたの参考になると感じたとき、あなたは長期的視野にたった子育てをしているということが言えるでしょう。

 

 

長期的な視点の質問

 
1・どのようにサポートしたら、子どもは有能感を持つでしょうか。

 

2・どのようにしたら、子どもが見ている世界を見ることができ、彼らの発達プロセスをサポートできるでしょうか。

 

3・私は、子どもたちが所属感や自己重要性を感じるために、どんな手助けができるでしょうか。

 
4・私はどうやったら、子どもたちにライフスキル、たとえば、問題解決力や感情をコントロールする力、抱えている感情を言葉にして表す(感情語を言われるもの)ことを学ぶ手助けができるでしょうか。

 
5・どのようにしたら、子どたちがベストだと思っている、他とは違った考えに対して、敬意を払えるでしょうか。

 
6・子どもと私は、この問題をどうやって間違いから学ぶ機会にしたらいいでしょうか。諦める代わりに、もう一度トライするために私たちはどのようにしたらいいでしょうか。

 
7・どうやったら変化には時間がかかるということを学んでいるということを思い出せるでしょうか。

 
8・どのようにしたら、私自身を勇気づけることができ、一度にワンステップで十分だと思えるようになるでしょうか。

 
9・私自身と子どもに対して、どのようにしたら信頼できるようになるでしょうか。

 

 

さて、これらの質問はあなたが心から望んでいるものですか?

 

 

これらの質問で興味深いところは、それらの質問に対して答えようとしていくと、誤った問いに対する答えの必要性がなくなることです。

 

 

子どもたちは、自分がその問題解決に尊敬の念をもって当事者意識をもつと、あなたのことを気にしなくなるかもしれませんが、より協力的になるでしょう。

 

 

彼らは、あなたの支配に対して反抗しようとするよりも、あなたの勇気づけによって、内発的な動機を見つけるようになるでしょう。

 

 

覚えておきましょう。

 

 

子どもたちは、自分は話を聞いてもらえていると感じたり、あなたが話を聞くスキルを使うとき、あなたの話に耳を傾けるようになるでしょう。

 
まるで石に躓いてしまったかのように問題と格闘する代わりに、勇気づけはあなたとあなたの子どもに、その躓きを学びの機会にかえてくれるでしょう。

 

 

一旦あなたがこれを自覚すれば、多くの親が子供を失敗から救おうとして無駄に使っている時間や労力を省くことができるでしょう。

 

 

あなたがやりにくさを感じれば感じるほど、あなたのやっていることはよりよくなっていくことにつながります。

 

 

あなたは、慣れている、あるいは、それが正しいと信じているので、罰することや救い出すこと、あるいは、過保護になることは心地よいことかもしれません。

 

 

しかし、あなたとあなたの子どもは、その経験から何を学ぶことができるでしょうか。

 

 

一方、こんな風にいうことは、あまりいい気分ではないでしょう。

 

“スキーに行くお金はないようね。”

 

あるいは、

 

“あなたが夜遅くに帰ってくることは、あまり気分がいいものではありません。私はそのことについて話しがしたいの。”

 

 

ベツィーの母親は、娘が抱えているトラブルを見ていることは、とても嫌な気分になるので、何度も介入して、その状況から救い出そうという衝動にかられました。

 

 

しかし、彼女は介入しませんでした。

 

 

なぜなら、彼女は、その時のベツィーの機嫌をどうにかすることよりも、ベツィーの心の中に自信を持ってもらいたいという強い願望を持っていたからです。

 
ポジティブ・ディシプリンはその場しのぎの子育てにしばしば起こる瞬間的な解決を経験することができないので、あまり心地よくないかもしれません。

 

 

時々、子どもがなんとなく逃げおうせてしまっていると感じることもあるかもしれません。

 

 

あなたが、長期的な視野にたった子育てに関する行動をしようとするならば、あなたがよい子育てをしているという自信が持てる結果に対して、深い信頼と理解を必要とされるでしょう。

 

 

私たちは、1年や2年ではなかなか結果が見ることができないたくさんの親といっしょに取り組んできました。

 

 

信頼について話しましょう!