学校づくりは幸せづくり

2014年4月 自主学校 瀬戸ツクルスクールを開校した。

準備スタートが2013年の12月。

一気に作り上げたことになる。

だからこの「学校」にどのようなことができるのかは、そのときはほとんど分かっていない状態。

それから1年と8カ月。

この自主学校瀬戸ツクルスクールにできることをいろいろと考えてみた。

少しずつまとめていってみる。

 

1・幸せにつながる力を育む

幸せであるための必要条件ってなんだろうと考える。

一つの要素で決まるものではないけれど、いろいろと学ぶなかでこれは大きく関わっているだろうなと思うことがある。

それが、

「自分は決めることができるという感覚」

「自分で現状を変えられるという感覚」

7つの習慣やアドラー心理学でも大切だとされているところでもあるけれど、

いろいろ要素があるなかで、この2つが幸せにつながるだろうなと思ったのは、世界幸福度調査で調査開始(3年前)以来、毎回ベスト3に入っているデンマークの教育について聞いたとき。

(もちろん幸せを計ることができるのか、というところはあるけれど、参考することはなんら無理があることではないと思う。調査項目は①一人当たりの実質国内総生産(GDP)、②健康寿命、③頼れる人の存在、 ④人生における選択の自由、⑤社会において腐敗からどれだけ自由であるのか、⑥社会の寛容性。ちなみに日本は46位。)

デンマークの教育の基本は「対話」

対話をするためには、「話す」という自己決定と、「自分には意見がある」という意識、「話すことでなにかしら影響を及ぼすことができる」という意識が必要だと私は考えているし、おそらくそれらが育まれていくことで、幸福度調査にある項目の「頼れる人の存在」であったり、「人生における選択の自由」であったり、「社会の寛容性」につながっていくのではないかと思った。

そんな対話の教育ではないけれど、

「自分は決めることができるということ」

「自分で現状を変えられるという意識」

という、自分に対する見方を育てることは、今、学校に不満を持っている小中学生が、幸せにつながる感覚(あまり意識できないくらいだとは思うけど)を育めるのではないかと思っている。

瀬戸ツクルスクールのような存在はそこに貢献できるのだと思った。

 

なぜそのように思ったか。

 

今、私は夕方は学習塾を営んでいる。

そんななかで日々小中学生と時間を過ごしている。

「学校に通っていることが、自分が選択した結果ではない。」と感じている子どもがいる。

そして、

「それはどうしようもないことだ。」と感じている。

そこに自己決定感はない。

 

また、その状況を「変えられない」と思っている。

そうなると文句しかでてこないし、さらに、文句を言っても仕方がないとも思っている。

不満を抱えながら毎日を送っている。

その不満を人や環境のせいにしながら通っている。

そんな小中学生が少なからずいる。

それは幸せにつながる力を育んでいるとはいいにくいと思う。

 

こんな生徒がいた。

学校に行くのが嫌だった。

勉強もよくわからないし。

そのよくわからない時間にほかにできることがあるんじゃないかって思っていた。

「学校に行きたくない。」

そんなとき、母親が瀬戸ツクルスクールという選択肢を提案した。

その生徒は一度瀬戸ツクルスクールに来た。

学校とはまったく違う一日を過ごした。

好きなだけ自分の好きなことができる学校。

でも、ある意味すべてが自己責任の学校。

「まだ自分には(すべての責任を負うことは)いいかな。」と思った。

地元の中学校に戻った。

相変わらず学校には行きたいとは思わなかった。

でも母親は、その後「学校に行きたくない」と言う言葉を子どもから聞かなくなった。

 

セミナーなどで語られるような劇的なものではない。

でも、「自分が決めることで、変化をもたらすことができる」そんなことを感じる機会。

そして、そういう機会を持つことは、幸せにつながる自分に対する見方を育てることとつながると思う。

だから、自主学校瀬戸ツクルスクールのような存在は、ツクルスクールに通う生徒だけではなくて、今の学校を不満に思っている小中学生にも、無意識ながらも、幸せにつながる「自分で決める」「自分は影響を与えられる」という感覚を育むことができる存在だと思う。

学校づくりは幸せづくり。