思春期の子どもは、彼らがだれなのかということを見つけ出す必要性を持っている。
お分かりかと思いますが、子どもが個人化しはじめると、あなたに対して秘密を持つようになります。
あなたも思春期の頃、親には知られたくない秘密があったのではないでしょうか。
ワークで“思春期の秘密”(親に知られたくないことで、あなたが十代のころやっていたこと)というものをすると、夜こっそり家を抜け出したとか、ドラッグやお酒を試してみたとか、車の後ろでいちゃいちゃしていたとか、都市伝説を信じていたとか、今だったら刑務所行きのような悪ふざけとか、そんな話で笑いがたくさん起きます。
この親たちは、今は、自分が子どものころにやったことを自分子どもがやってしまいそうなことを怖れている会社のCEOだったり、先生だったり、校長だったり、機械工だったり、医者だったり、配管工だったり、父親だったり、母親だったりします。
個人化はしばしば反抗に見えます。
ほとんどの親は、子どもが反抗すると心配しますが、彼らが反抗をしないことを心配する方が適切だといえるでしょう。
思春期の子供は、家族から離れ始める必要があります。
そして、反抗することは、親と離れていくための能力を与えることができるのです。
まず、子どもたちは、親が大事にしている家族の価値観や、親がまったく求めていないことに挑んできます。
親の考えとまったく逆の行動をとるのです。それから、それ以外についても反抗するかもしれません。
個人化の最初のうちは、親の言うことに言い返すだけです。
そして、一番わかりやすいのは、逆のことをするということですし、また、逆のことではなく、違ったやり方をするという子どももたくさんいます。
もし、反抗することを許されない場合、彼らは、20代や30代、もしかしたら50代で反抗をするかもしれません。
反抗しない(個人化しない)十代の子どもたちは、承認中毒者になってしまうかもしれません。
リスクをとることを怖れたり、彼らが彼らであることに居心地が悪かったりするのです。
この十代のころの個人化を、支える雰囲気(詳しくは9章)のなかで経験すれば、20代になれば、再び家族が大切にしていえる価値観などを理解するようになるでしょう。
尊敬の念のない扱いを受けたり、罰、コントロールによって動かされる経験が多ければ多いほど、個人化の途中で成長がストップしてしまい、家族の価値に立ち戻ることはなくなるでしょう。