16冊目 通常の学級 特別支援教育の極意
特別支援教育となっているが、本の最初に、それは「個」を育てる教育、と書いてある。
以前、多賀一郎先生か青山新吾先生か石川晋先生の本を読んだときの振り返りで、「学校教育を「個」という視点からスタートする」ということとつながることだと思う。
日本の教員養成は、基本「集団」からスタートする教育。
ちょっと乱暴かもしれないが、「集団」を優先する教育といってもいいかもしれない。
そういう視点からいえば、「個」を優先させるということは、「特別」という感覚を持つのかもしれない。
しかし、ここに書かれていることは、なにか「特別な子」に「特別なこと」をやるという内容ではないと思う。
普段の生活のなかで、「個」から生徒を見たときの様々な手立てが書かれていると思った。
現代は、以前はあまり意識することのなかった「個」に対しての関わり方を今の先生は求められている。
自分がされたことも、したことも、教わったこともないかもしれないことを求められている。
そんなときに、なにができるのか、どのようにしていったいいのか、という方向性が必要だと思う。
そのベーシックなことが書かれている。
学校の先生は「個」を意識すればするほど、エネルギーが分散してしまう気がする。
だからこそ、エネルギー補充が必要なのだと思う。
私はそのエネルギー補充をしてくれるのは、自分の在り方と周りとの関係性だと思う。
この本には「個」に対しての関わり方だけではなく、先生としてどうしたらいいのか、保護者とどうしたらいいのかということも書いてある。
特別支援教育と書いてあるが、これからの学校教育で先生にとって必要な要素が「個」「集団」「関係」という点で書かれている本だと感じた。