10冊目 資質・能力を育てる問題解決型学級経営

10冊目 資質・能力を育てる問題解決型学級経営

ちょうど1年前に出版された本。

前半の三分の二は、今ある現状、学級経営の必要性、指導要綱から読み解く取り組み方など、学級経営に取り組むための背景について書かれている。

本の中では、「鳥の目」としている。

これはそのまま「経営」という視点から見たときにでも十分に知っておくべきことがたくさんあった。

例えば、ダニエル・キムの「成功の循環モデル」

この本では

「よい学級も、よい授業も、メンバーの相互の良好な関係からもたらされる」

となっているが、家族経営に置き換えるならば、

「よい家族も、よい時間も、家族の相互の良好な関係からもたらされる」

となるし、仕事であれば、

「よい会社も、よい成果も、メンバーの相互の良好な関係からもたらせる」

ということになる。

これが必ずしも教育界では共有されていないとなっているが、教育界だけではないと思う。

「よい関係」よりも「よいシステム」「よい管理体制」のほうを優先させている。

 

そのほかにも

「本当の脅威は、大人の危機感の薄さ」

「「子どもをどうする」ではなく、「大人がどうするか」が問われている」

「子どもたちの人生において、最もリスクを高めてしまうことは、他者との信頼関係が構築できないこと」

などなど、赤坂先生の熱い思いがビシビシと伝わってくる内容がたくさん書かれている。

しかも、それがちゃんと学習指導要綱に基づいて書かれているので、先生たちは一読すべきだと思った。

 

残りの三分の一は「虫の目」ということで、では実際にどうやっていったらいいのか?ということについて書かれている。

それぞれの目標についてのチェックシートもあり、これを目安にしながら活動できると思う。

そのなかで特に気になったのが、

「協働のリスク」

みんなで取り組むということをやるのはよいのだけれど、そこにあるリスクは認識しておくように、ということ。

「ただ乗り」(だれかがやってくれるだろうということでやらない、手を抜く)

「社会的抑止」(人の意見が気になり、自分の意見を言わない)

「思考の阻害」(自分のペースで思考できない)

「同調圧力」(空気を読まされて、自由な発言ができない)

 

すべてが「みんなで取り組む」ということで解決できるわけではないということを踏まえて、それでもやっぱり「協働」に向けてトレーニングを積んでいくことが大事だということ。

ちょうどこのブログを書こうと思った時に、赤坂先生のFacebookで、この本を視写して学んだ先生がいるという投稿を観たが、確かにそのように学ぶだけの基礎・基本が書いてあると思った。一般人からしたら、やや硬めの印象があるかもしれないが、先生たちは読むべきだと思った。