9冊目 アドラー心理学で変わる学級経営

9冊目 アドラー心理学で変わる学級経営

いつもお世話になっている赤坂先生の著書。

クラス会議の本や学級経営の本がたくさんあるけれど、がっつり「アドラー心理学」というものを主において書かれたものはあったかな?

なぜ学級経営にアドラー心理学なのか、また、アドラー心理学の基本前提などについての話で半分くらい。主に「目的論」「対人関係論」を中心とした実践のことが半分くらいといったところかな。

 

おそらく多くの人が「おぉ~」とめをひくかもしれないのが、

”完全「学級崩壊マニュアル」”

なかなかチャレンジングな赤坂先生!! 大好きですw

こういった本などにまとめるときは、ある程度の普遍性を提案することに意味があると私は思っています。

個人の成功体験だけで語られてもね・・・家族内だけならいざ知らず。

私もいろいろと話しを聞いてきました。多少の幅はあるにせよ、ほぼこのマニュアル通り学級崩壊が進んでいます。

私もこれを使えば、きっと学級崩壊を創出できます。

でも、もし私も学んでいなかったら、こうやってしまっていたと思います。

ここで書かれていることは、学級経営に関わらず、様々な関係にも適応できると思います。

完全「やる気崩壊マニュアル」

1:できてない所を見つける

2:できていないところを注意し続ける。追い詰めれば(脅せば)なお良し、挑発にのるもよし

3:ほかにできていないところを見つけたら、そちらも2と同様にする

4:できているところは当たり前としてスルー

5:あとはそのまま続ければよい。

やる気だけではなく、親子関係、夫婦関係、職場関係、すべてに当てはまるだろうと思います。

もちろん最後にどうしたらいいかも書いてあります。

 

昔は「マニュアル」という言葉が嫌いでした。でも社会にでて、そのマニュアルを作成する現場にでると、まさにそこはそれまでの知識や経験をいかに多くの人に、分かりやすく、できるかぎり対応できるように作成されたものだと思いました。

いくつか注意しないといけないところはあるにせよ、羅針盤的役割としてそれを使うことは大事なことだと今では思っています。

 

あと赤坂先生のお話には、全体として「コスト」という言葉がよくでてくるような気がしています。

例えば、「クラス会議」という手法があって、それを取り入れたらうまくいくかもしれないけれど、その新たな行動を取ることのコストと、今のままで目の前の問題に取り組むコストを比べたとき、人によっては、問題は解決せずに今のままのほうが行動コストが少ないために、「クラス会議」を取り入れることはしない、という感じです。

それをこの本では、

「人は問題を解決しないことを選ぶこともある」

というところで書かれています。

 

また、原因論と目的論を、いつどういうったときにどちらを採用するかということも書かれています。

原因と結果がシンプルなときは原因論でもあり。

しかし、複雑なシステム(主に人間関係)の場合は、その複雑さゆえに、原因論ではにっちもさっちもいかない。それよりも目的論のほうがシンプルであり、使用しやすい、と。

人間関係ほど複雑なシステムはないわけですから、私としても目的論を採用することが多いです。

 

そのほかにもたくさんのアドラー心理学に基づいた知見や分析、捉え方、関わり方がぎゅっと詰まっています。

この本は学級ということになっていますが、当然家族にも適応できると思います。

そのほうがちょっと客観的に見られるし、それをどう自分の家庭に当てはめたらいいのだろう?と思考を通るので、よい学びになるかもしれません。