コツコツ訳しています。現在第6章「あなたの言うことを子どもは聞いてますか?」
感情語の語彙を増やす
あなたの気持ちや思っていることを伝えために、感情語の語彙を学ぶ必要があります。
感情を隠す代わりに、子どもが自分の感じている感情は何なのか?ということを理解できるようにサポートしましょう。そして、その感情を共有します。
もしかしたら、あなたは、感情がなんなのかわからず、たくさんの感情を抱えている子どもたちを助けることができないかもしれません。
あなたが感情について学び、感情を名付け、それを表現することは、あなたの子どもに取って素敵な贈り物になるでしょう。
悲しみ、寂しさ、愛、哀れみ、共感、理解、思いやり、はあなたの心からくるものです。
正直、恐れ、怒り、そして勇気は、あなたのお腹の底から来るものです。
コミュニケーションにおいて、感情を伝えることが、いつも解決策にならないかもしれません。
あなたの頭が判断し、分析して、一番よいとおもったことをする場面があるでしょう。
ほかの場面では、あなたの心の愛や共感、そして、悲しみに耳を傾ける必要があるかもしれません。また違う場面では、お腹の底からくる誠実さや、あなたの怖れ、怒り、勇気に関して耳を傾ける必要があるかもしれません。
あまりに多くのコミュニケーション不全があるときの解決策は、適切なバランスを見つけ出すことです。
ジョイスは離婚後、彼女の娘、ジュリアとの間に深い溝ができてしまったことに気づきました。ジョイスが、頭、心、そして、お腹の底からくるコミュニケーションのスキルを学んだ時、彼女との溝に橋を架けられたように思いました。彼女は彼女の日記から一部抜粋して共有してくれました。
6か月前、ジュリアは私を映画に連れていきました。映画が始まる前にいろいろ話していて、私は、議論する代わりに、彼女の言っていることに耳を傾け始めました。
私は聞き始めるまで、実は「聞いていなかった」ということに気づきませんでした。
以前は、私は頭でいろいろ考えて、彼女の心からの言葉に耳を傾けようとせず、いかに自分の考えが正しいのかということを説明しようとばかりしていました。
それからは、自分の言いたいことをぐっと我慢する練習をしました。
会話が終わると、何も解決されていないような気持ち悪い感じになりました。
私の普段していることがなにもできなかったわけです。
たとえば、彼女にアドバイスを送るとか、彼女に私が正しいと思っている“正しいやり方”について言うとか。
しかしながら、数週間が経ち、私は、たとえそこに、不安ないやな気持があっても、二人の関係がよくなっていることに気づきました
初めて“聴く”という経験をしてから約1か月がたち、家族の外食のあと、彼女の家に車で送っていくことになりました。彼女が私に送っていってもらいたいといったのです。彼女は私になにかいいたいことがあるようでしたが、少し緊張しているようでした。そして、私は、彼女に自分の心が感じていることを伝えることに決めました。
私は言いました。
“現在の私たちの関係には、溝があるような気がして、すごく残念に感じているの。私たちの関係がうわべだけのようなものになっているんじゃないかって。
私はあなたを愛しているし、あなたも私のことを愛してくれていると思うわ。いっしょに過ごしているときは、楽しい、心地いいものなのよ。
でも、なんだか表面的なもののように感じるの。このお互いの間にある溝をなんとか埋められるようなことはないかしら。”
ジュリアはいいました。
“もうこの話はしたくないわ。もうずっとやってきたし。またこのことを話したくはないわ。”
私は言いました。
“今だったら、前よりは話を聞けると思うの。たくさん学んだの。
私は以前、「聞く」といことをどうすればいいか分かっていると思っていたわ。
でも違った。
もう一度チャンスをくれないかな。あなたがずっと思ってきたことを知りたいの。“
ジュリアは話し始めてくれました。
彼女の言うことは、私にとっては痛みを伴うものでした。彼女の話に心から耳を傾け、話を聞くことは、本当に胸が苦しくなりました。
彼女は自分が一番つらいときに、母親が自分を見捨てたという痛みを自分で何とかしなくてはいけなかったといったからです。
私がどれくらい彼女を愛しているか、またなぜそのようにしてきたかということを話すと、彼女は驚いていました。
彼女は彼女の信じてきたこと(彼女の母親は、ただの人であるだけで、ジュリアが信じていたかった母親ではなかった)の多くが真実ではないと気づきました。
ジュリアは言いました。
“でもね、感謝しなくちゃいけないとも思ってるの。
なぜかというと、いろんなことがあったおかげで、私はよりよい人間になれた気がする。人生とうまく付き合い、そして、良い時間を過ごせたから。
それまで私が考えていることといったら、次のパーティーはどこだろうということだったわ。どんなことにも真剣に取り合わずにね。ゲームみたいなものだと思っていたの。
でも、こういったことが起きて、違った見方を見つけたの。人生は大切なものだし、人生の大切な舵を握っているのは自分なんだということを。
だから、わたしはドラッグを使わないということについて多くの決断をしたし、どうやって時間を過ごすか、何が私にとって大切なのか、学校が自分にとってどのように大切なのかということを考えたわ。
今までの私ととお母さんの関係が悪かったとは思わないけど、今は以前とはすっかりちがうわ。あなたが、私が思っていたあなたとは違うことが分かったから。
ジュリアが本音を話してくれたので、座り込んで泣いてしまいました。私の心は打ち砕かれ、いいました。
“あなたにこんな経験をさせてしまって、本当にごめんなさい。あなたの話を聞いていなくて、本当にごめんなさい。あなたの言うことすべてが批判に聞こえていたわ。-その背後に何かがあるとも思わずに-
私はあまりにも自分のことを守ることしか考えていなかったわ。
いかに無駄なことをしてきたか。いかにあなたを侮辱してきたか。
分かっていると思うけれど、私はあなたを愛してるの。だから、私にはあなたがつらい思いをしているところを見ることはとてもつらいこと。そして、あなたが経験したことを考えると・・・本当に少しでもなにかを知っていればと思ったわ。
あなたは、私が幸せ生きているように見えたかもしれないけれど、とてもつらい思いを持っていたのよ。
あなたは私のつらいところを見ているのではなくて、違う何かを観ていたのね。きっといつかあなたにも分かるときがくるわ。そのとき何が起きていたのかを伝えるつもりだったの。
私は今はそのときとしてふさわしくないと思うの。でもね、あなたが知らないことがたくさんあるし、あなたが理解していないこともたくさんあるの。いつかあなた知りたいと思ってくれるといいなと思うわ。
これは高速道路のパーキングでの出来事でした。私たち二人は、涙を流しました。そして、彼女を抱きしめて、いいました。
あなたのことをとても愛しているわ。だからすごく悪かったと思ってる。
彼女は言いました。
私は愛しているわ。
私たち二人の深い溝は埋まりました。心から話に耳を傾けることは、とてもつらいことでした。
でも、その価値はありました。
私の娘が帰ってきた気がしました。