コツコツ訳しています。現在第5章。「子どもをどのように動機づけるか?」前回は、「感謝を伝える」というスキルでしたが、今回は「ユーモア」
ユーモア
思春期の子どもは、ユーモアを楽しめますし、説教や小言よりもよっぽどよい反応をします。
次の場面では、親がどのようにユーモアを使って、子どもに協力とやる気をださせたかということを教えてくれます。
10代の女の子が食事の前にテーブルの準備をすることを忘れたので、母親は、直接テーブルに料理を盛り付けました。
だれもがこのおかしな状況に笑い声をあげました。
それ以来、テーブルはしっかりと準備されるようになりました。
ピーターは3人の10代の子どもの父親で、子どもたちがやる気になるように、ゲームをするのですが、そこにはユーモアを含むようにしています。
家族で決めた家事を子どもたちがやっていないと気づくと、彼は言います。
“やるってみんなで決めたことをやっていない人がいるな~。
さて、やっていないことを最初に見つけられた人には1ドルだそう!”
子どもたちはそれを聞くと、1ドルを手に入れるために、一体やっていないことは何なのかを部屋を探しまわって見つけようとします。
また別のときは、
“フットボールの試合が始まるまでに、みんなが庭仕事を終えられないことに2ドルかけよう!”
といいます。
彼は不定期で、だれも予期しない時に、こういったゲームを効果的に使います。
以前ピーターは、報酬や賄賂のようにゲームを使って子どもたちに家事をさせようとしましたが、子どもたちは、家事の手伝いをすることをお金のためだけにやるんだよ、というようなことが伝わってしまい、尊敬の念をあまり感じなかったようです。
ある日、スーパーで、いつものように、楽しもうという気持ちで、ピーターは、買い物リストを2つ切り分け、一つを彼の息子に、もう一つを子どもの友達に渡して、こんな風にいいました。
“もし二人が、その買い物リストを15分以内に全て見つけることができたら、ピザを買ってあげよう。さぁいってみよう!”
店員さんは、子どもたちが次々に買い物を済ませていく姿をみて驚いていました。
時々ユーモアだけが、物事を解決してくれるときがあります。
シャロンの15歳の息子のコールが家族になったとき、彼が存在感を発揮するまでに、それほど時間はかかりませんでした。
まずは、シャロンのヘアブラシがなくなりました。
次にキッチンタオルの半分が、そして、ついにはブランケットが。
また、彼は電話をしているときに、歩いたり、くねくねしたり、くるくる回ったり、踊ったりして、コードがこんがらがってほどけなるくらいにしてしまっていました。
コールは、あまりにも自分の部屋が汚いので、学校から帰ってくるとシャロンの部屋にいき、ベッドに横になってテレビを観て過ごしていました。
そして、汚れた皿をそのままにしておいたり、雑誌やジュースの缶をシャロンの寝室に置いたりしていました。
そして、その日がやってきました。
シャロンが食卓を整えようとしていたら、引き出しのどこにも食器がないのです。
また、ハーブを切ったりすることにつかうはさみもです。
“コール・ピーター・アンダーソン!”
シャロンは叫びました。
“すぐにここに来なさい!”
コールはだらだら入ってくると、聞きました。
“なんでそんなに慌ててるの?仕事で悪い事でもあった?”
シャロンは拳を握りしめて、いまにも戦いそうになりましたが、彼女はほかのアプローチをすることを決めました。
シャロンは、コールが彼になにかをさせようとしたり、大人がしてほしいことを彼がしないときに怒る大人を打ち負かすことに、とても挑戦的であり、長けているということを知っていました。
シャロンは一呼吸置き、尋ねました。
“コール、今日の星占い、読んだ?”
“シャロン、何を言ってるの?読んでないよ、そんなこと知ってるだろ?”
“あらそう、なら聞いてみて。”
とシャロンは言って、新聞を開き、真剣な顔つきで読み始めました。
“牡羊座はこんな感じよ。
今日はどうしてもシャロンのはさみをキッチンに返したいという気持ちに逆らえないでしょう。
また、汚れた食器を持ってきて、洗って元に戻したい1日となるでしょう。
絡まった電話のコードをほどき、テーブルまで届くようにしたくなるでしょうし、シャロンのヘアブラシを元の場所に戻したくなる、そんな1日でしょう。”
“からかわないでくれよ、見せてみて、シャロン。”
とコールは言って、新聞を掴み取ろうとしました。
“すぐにここに書いてあることをやってしまえば、私がその部分を切り取ってあげるわ。”
とシャロンはからかいました。
コールはにやっと笑って、
“シャロン、変わってるね。”
と言いました。
数分後、彼は汚れた皿をキッチンに持ってきて、はさみをしまい、電話のコードをほどき始めました。
シャロンは近寄って行って、コールを抱きしめていいました。“ありがとう!”
また違った状況では、シャロンはコールに、彼がいつまでもぐずぐずしていることをどうにかできないか尋ねました。
“シャロン、それは家族の特質なんだよ。家族はみんなそうなんだ。遺伝なんだよ。”
“そうね、ただ、もしあなたがそれを変えたいと思っているならば、どうやったらいいかアイディアがあるんだけれど、あなたが頼んでこない限りは言わないわね。”
“わかったよ、シャロン。お願い。どうか、どうか、どうかお願い。どんなアイディア?”
とコールはふざけました。
“いろいろとなにかに取り組む時、だいたい最初と真ん中と最後に分けられるのは知っている?
私は、あなたが最初はとてもよくできていて、真ん中もなかなかなんだけれど、最後がうまくいっていないと気づいたのよ。
このままでいて、
‘コール・シャロン・アンダーソン 遅延人 どんなに小さなことでも先延ばしにできないものはない’
という名刺を手に入れたいか、それとも、私のABCハピネスプランを試してみたいか、どちらかね。”
コールは尋ねました。
“ABCハピネスプランってなに?”
“言えないわね、でも、見せることはできるわ。準備はいい?”シャロンは尋ねました。
コールは、またからかわれていると分かっていましたが、彼の面子を保つやり方を持っていそうだし、おもしろそうだったので、彼女に乗ってみることにしました。
“いいよ、シャロン。準備OK。”
“まずはAからね。車にいって、家用のタオルとブランケットを全部持ってくるの。”
コールはドアから車にすぐに生き、荷物を持って帰ってきました。
“次は何?シャロン”
“さぁBね。タオルとブランケットを全部洗濯機のなかに入れるの。そして、洗剤を入れ、洗濯機をスタートさせるの。それから洗濯機の前にたって、Cは何になるのかな~と考えるの。”
“きっとCはその洗濯物をたたんで、元の場所に戻すってことでしょ。”
とコールは考えていいました。
“その通りよ。賢いわね。きっとあなたならABCハピネスプランを理解できると思っていたわ。
ハッピーじゃない?私はハッピーよ。”
シャロンはそう言って、声を出して笑いました。
コールは、ただ頭を振って、シャロンに視線をやり、大人ってかなり変だね、といいました。
シャロンは、今までもいろいろな状況で衝突して、コールは怠け者で挑戦的だと主張していました。
しかし、彼女は戦場で過ごすのではなく、落ち着いた調和のとれたところで生活したいということを決めました。
彼女がユーモアを大切にすればするほど、コールは戦うことなしに、彼女の調子に合わせてきました。