喜多川泰さん
「心に柱を立てる」
親の願い。
普段の子どもの生活を見ていると(ダラダラテレビ、とことんゲーム、脱いだら脱ぎっぱなし、部屋を掃除しない、スマホばかりなどなど)といろいろと心配になる。
確かに親に見せる顔とそれ以外に見せる顔が違うということは分かっている。
そして、いろんな人が「大丈夫」と言ってくれる。
たしかにそうなんだろうと思うけれど、素の子どもを知っていると、どうしても心配になってしまう。だからこそ、
「何があっても動じない何かを持たせてあげたい」という願いがある。
そういった柱のようなもの。
しかし、親や先生ができるのはそれを持てるようにするサポートをすることだけ。
それをつくれるのは本人だけ。
そして、その「柱」は学歴ではない。
それは幸せの近道ではない。
履歴、技能、能力はその子の人生の柱になるのはすごく少ない。
素晴らしい才能があるから、素晴らしい幸せな人生を送れるという人はそれほど多くない。
人間の可能性は無限・・・これは事実。
生まれたばかりのときは、育ち方、育て方次第で、なんだってできるんじゃないか?と親も思う。
子どももそう感じている。
でも、時が経つにつれ、「これができないんじゃないか」「あれはできないんじゃないか」と思ってくる。
でもやっぱり子どもに「無限の可能性があるんだよ」と伝えたい。
ただ、自分の可能性が無限であると信じていない人が、子どもに無限の可能性を伝えるのは困難。
「今自分は自分の無限の可能性を開花させるために、こんなことをやっている!」と言える大人が子どもにそれを伝えられる可能性が高い。
だからまずは大人が自分の無限の可能性を信じ込まないといけない。
子どもは最初は無限の可能性があると思っている。なにかがあってほしいと思っている。
光る才能、光る能力。それがあってほしいし、それが開花するならば開花させたいと思っている。
でもやり続けているうちに・・・あれ、これじゃないと思うときがくる。
どんなときか。
人と比べるとき。
たとえばサッカーをやっている。もしかしたらプロになれるんじゃないかと思ってやっている。
でも、とてつもなくサッカーが上手い人出会って、あぁ適わないなと思ったときに、これじゃないな、と思う。
そして、サッカーをやめる。
でもまだ自分を諦めることはしない。
だから、次を探す。そして、それが繰り返されていく。
自分には光る何かがあるんじゃないか?と思いたいがために、続けていく。
そして、やっていき、この流れが続くと、自分には才能は何もないのかもしれない・・・というところにたどり着く。
そして、「やりたいことがない」「なにがむいているのかわからない」となっている。
子どもたちの人生を支えるもの
「簡単に手に入らないもの」
これを大人は子どもに伝えなくてはいけない。
こういう風にやると、簡単に点数が上がるよっていうと飛びつく。
こういう仕事につくと、くいっぱぐれないよっていうと飛びつく。
簡単に自分の人生を支えてくれるものを探そうとしている。
でも、簡単に役に立つものは、すぐに役立たなくなる。
人生を賭けてなかなか手に入らないものを追及すると、その結果ではなく、その経験が自分の人生を支えてくれる。
そして、それを、まずは大人がやってみることが大事。
子どもは、なにかに出会ったら、自分の才能が開花すると思いがち。
でも、違う。そういったものはない。何かに出会って、ポンッと開くものはない。
でも、可能性は無限にある。それは間違いない。
では、何に差があるのか。
それは、
「反応の仕方」
人間の幸せは、没頭できる何かに出会えるかどうか。
それに出会うと、「これをやるために生まれてきた!」と思える。
好きなものに出会った→没頭 ×
没頭する→好きになる〇
どうしたら、没頭できるようになるのか。
人間の特性として、やりだしたらやめたくない、ということがある。
たとえば、家に帰って、最初にテレビをつけたら、それをやめたくない。そして、勉強に取り掛かるのが遅くなる
子どもだけじゃない。大人も。いったん落ち着いたら、それを途中でやめたくない。
帰って、リビングで座ったら、そこから動きたくない。
また、かえって自分の仕事部屋にいったら、やっぱり仕事を始める。そうすると、途中でやめたくなくなる。
始めたことをやめることが苦手。
没頭する能力はあるが、没頭するまでにかかる時間が長いか短いか、があるだけ。
没頭することが苦手な子がしていることがある。
それは、
「損得を価値基準とした取捨選択」
人間の行動の大半の価値基準は「損得」
損得で考え始めると、没頭することがどんどんなくなっていく。
元気な子どもが分かりやすい例。
目の前のことにただひたすら没頭している。
でも、あるときから周りの大人や子どもが価値基準を教える。
「そんなことやめなさい」とか「こうやっておいたほうがいいよ」といった。
その価値基準はいろいろではあるけれど、やはり「損得」が多い。
そして、どんどん没頭しなくなっていく。
一人の大人として子どもに
「損得以外の価値基準を与えたい」
無気力のはじまり。それは、
「損得という名の価値基準による取捨選択」
これが始まると、どんどん切り捨てるようになる。
「一生懸命歌おうよ!」といっても「それやってなんか得することあるの?」「それって意味あるの?」になる。
そうなると、受験などで「数学、捨てた」というような言葉がでてくる。
でも、捨てても切っても、授業はやってくる。では、その時間どうするの?
時計とにらめっこ。苦痛がふえるだけ。
いろいろな物事に対して、いるのかいらないのか判断する。
そして、その判断の結果、要らないとなったモノに対して、やる必要がない、ということになる。
でも、その「いるいらない」をそのときの「今の損得」だけで決めていいのか?
案外そういうところ、あるいはそういう経験が、自分の人生を豊かにしてくれるのではないか。
たくさんの経験することで人と人を結びつける結び目が増える。
そういう経験があるからこそ、人の気持ちが分かったりする。人の話を聞いて、感動したりできる。
そして、人とつながることができる。そういう結び目がたくさんあることで、幸せな人生につながっていくのではないか?
そういったたくさんの経験を「損得」の名のもとに「切り捨てる」ことで、実は人生の豊かさまで捨ててしまっているのではないか?
では損得を価値基準としない価値基準って何なのか?
それは人それぞれであり、親が考える「テーマ」
「反応」について・・・はまた次回。
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