商店街はなぜ滅びるのか

商店街はなぜ滅びるのか

堀先生が薦めていたので読んでみた。

ただそれだけの理由だったので、特に商店街がなぜ滅びるのかということに対しては興味本位程度。

そのなかでも一番興味を持ったのが、戦後の日本社会のの政治的・経済的安定についての言及

”「自営業の安定」という、「雇用の安定」とは別の安定がしっかりと存在していたのである。”

 

今自分が取り組もうとしているのは、ある意味このバランスをとることだと思っている。

あまりにもすべてが、「雇用の安定」にすがりつきすぎなのではないか?

だから結局限られたパイを奪い合うしかなくて、どれだけ必死にやっても、真綿で自分の首を締めるような苦しい感覚になってしまうのではないかと思っている。

 

普通に学生をがんばってきた子どもたちは、イメージとして、独立や起業は冒険性に富んだものであり、才気あふれる人だけが可能だという感覚を持っている。

確かにそういうイメージを持っていれば、「安定」を考えたときに、雇用を選ぶのは否めないと思う。

 

しかし実際は、そうでもなかったりする。起業はもっと一般的で身近な選択肢であると思う。

例えば、実際に、日本の会社の数はざっくり250万社。

これは250万人の社長がいるということ。(もちろん代々会社を継いでいる人もいるだろうし、1人で何社もやっている人もいあるから、もしかしたら、このなかで自ら会社を立ち上げた人は半分くらいかもしれない。それでも125万人)

一方、学校の先生は91万人・・・(「15歳から、社長になれる」 家入一真著を参考)

単純に数字だけで論じることはできないけれど、多く見積もってみても、学校の先生よりも社長になるほうが確率は高い。

それなのに、起業をしたり、社長になったりするほうがはるかに難しいと勝手にイメージを持っている。

数字だけではなく、私の肌感覚として、今は昔ほど独立起業は難しくないと感じている。

 

ただ確かに起業は難しい部分もあると思う。昔だったら雇用されたほうが安定に結びついていたのかもしれない。

しかし、今はどうだろうと思う。

会社制度の崩れや変化の激しい、スピードの速い世の中。インターネット環境の整備。

これらを踏まえると、「自営」よりも「雇用」のほうが「安定」するとはいえないと思っている。

 

「雇用の安定」がだめだといっているわけではない。

そこに頼りすぎるのがどうなのか?と思っている。

もっと「自ら営む」ことに「安定」をイメージできるようにできたらと思ってる。

そして、「雇用」と「自営」が同等の感覚を以て選択していけるような社会バランスにしていくことが、少なくとも今よりはベターな社会につながるのではないかと思っている。

既存の学校がここにつながるような教育ができればよいけど、性質上難しいと思い、自主学校瀬戸ツクルスクールを創ったというところもある。

 

だいぶこの本の主旨とは違う内容を書いたけれど、この本のなかでは、どのようにして自営業の安定が可能になったのか、それがどういう流れで商店街につながり、その後の流通業がどのように変わっていったのかということが書いてある。

著者の思いが最後に書いてあり、その思いの強さが反映されているような表現がいくつか入っていたこともあり、流通業の物語を読んでいるような感覚になった。というのがこの本の感想になるかな。