スクールカーストの正体

かなりセンセーショナルなタイトルだなぁと最初は感じた。

しかも書いたのが現役の先生だということにも驚いた。

先生がそれを認めちゃっていいのか!?という感覚。

 

「カースト」という言葉。

本当にそれが意味するものが何かほとんど分かっていない状態で、不勉強なのは百も承知だけど、あまりいい気持ちのする言葉ではない。

音もなんだかすごく押し付け感と閉じている感がある。

 

そんな気持ちだったので、恐る恐る読み始めた。

 

まず初めに

「スクールカースト」の成立しやすい環境について

1・同学年集団、30~40人程度

2・郊外部より都市部の方が成立しやすい

 

「スクールカースト」ならではの独自性

1・学校内であるがゆえに日々の生活のなかでの流動性がない(LINEなどがさらにそれを促進)

2・子ども独自の世界観

3・勢力ではなく、居場所としての位置づけ

 

「スクールカースト」を決める3つの要素

1・同調力

2・自己主張力

3・共感力

そして重要性もこの順番。

この順番になった影響をいくつかの事例で解説。

同調力・・・インターネットの影響、自己責任圧力、全体性の希薄化、マスメディア(主にテレビ)の影響

自己主張力・・・総消費者化社会、個性重視の教育

共感力・・・かつては教育で大切なもののトップだったが、ほかの2つが強くなり最後に。

 

「スクールカースト」

・スーパーリーダー 同調力・自己主張力・共感力 ほとんどいない

・残虐なリーダー 同調力・自己主張力 / 孤高派タイプ 自己主張力・共感力 (0~3人)

・人望あるサブリーダー 同調力・共感力(各学級の1割 2~5人)

・お調子者・いじられキャラ 同調力 (各学級の4割程度) 15~30人程度)

・いいやつタイプ 共感力(2~8人程度)

・自己チュータイプ(5~10人程度)

・何を考えているかわからないタイプ(2~8人程度)

そして、クラスを構成している先生もそこに組み込まれている。

 

これらの「スクールカースト」を踏まえることで、様々な状況の捉え方やいじめへの対応が変わってくる。

そして、この本の副題にもなっている、キレイゴト抜きのいじめ対応として、

1・チーム(学校)として取り組む

2・職員室での先生カースト構造の解体

3・保護者の担任に対する意識の変化

ということが書かれている。

 

と、かなりざっくりではあるけれど、こんな流れ。

 

読んでいくうちに、ありありと事例の場面が頭に浮かんできた。

友人の中学教師も、「まさに学校で起こっていること!!」と言っていた。

そういう点からも「現実」のうちの一つだということだろうし、多くの場所で起こっていることだとも思う。

 

確かに「スクールカースト」という階級のようなものが学校にあるなんて認めたくない気持ちはある。

でもそんなことを言って、みすみすイジメを防止できなかったり、誘発してしまうくらいなら、ひとつの「現実」として捉えて、そこからどうやってイジメを減らす方向に持っていけるのか、ということを考えるべきなのだと思う。

まさにキレイゴトなんていっていられない。

使えるモノは使う。

そういうことなのだと思う。

 

果たしてどうなんだろう?という感覚で読み始めたけれど、現代の学校に携わる人であれば、ひとつの視点として必ずもっておくべき視点だと思った。

 

そのほかにも興味深いところがたくさんあった。

・自己責任圧力と「空気の神聖さ」

・半クエスチョン(~みたいな? ~ていうか?)、ぼかし言葉(~的、とりあえず、~っぽい、なにげに)が必要な理由

・なぜ「祭り」が起こるのか

・地域の教育機能を崩壊させたものとは。

・集団感覚の希薄化

・なぜ子どもたちはそこから逃げ出さないのか。

 

などなど

 

かなりざっくり書いたけれど、本書では様々な具体的事例を示して書かれていて、理解しやすかった。

学校教育関係者はぜひ読んでおきたいところ。