学校づくりは肩の力が抜ける子育て環境づくり

自主学校 瀬戸ツクルスクールができること

前回は、今、不満を持ちながら学校にいっている小中学生が、「自分は決めることができる」そして「自分は自分の人生に影響を与えることができる」という感覚や経験をもつことで、幸せにつながる力を育める、ということを書いた。→学校づくりは幸せづくり

今回は2つ目。

2・子育てするお母さんたちが肩の力が抜ける環境を作ることができる

ということ。

 

現在、私自身、今までの経験や学んだことを子育て中のお母さんたちに伝えたりしている。

そのなかでも、ついつい肩に力が入ってしまうのが現在の子育て環境だと思っている。

「勉強がみんなと比べて遅れてしまったら・・・」

「学校で友達とうまくなじめなかったら・・・」

「なんとかみんなができるくらいはできてほしい・・・」

「学校でうまくやっていけないと、社会でもうまくやっていけなんじゃ・・・」

「できないよりもできたほうがいい・・・」

これは特に子どもが小学校、中学校になると増える心配。

小学校に入るまでは、これらの心配は比較的少ないと思う。

少ないのは、幼稚園は親が選ぶことができる、という環境があるということはとても大きなことだと思う。(実際に選べるかどうかはいろいろあると思うが。)

そして、このことから考えて、心配が増える大きな要因のひとつに

小中学校に「選択肢がない」

ということがあると思う。

 

基本的には小学校になったら20名以上のクラスにはいり、決められた時間割に沿い、みんな同じ給食を食べ、得意不得意関係なくすべての教科を一定のスピードで学習をする。

非常に均一性の高い学校システム。

そして、そのほかの学校システムの選択肢がない、というのがおおまかな現状であると思う。

 

そういう均一性の高いところに入れば、その均一性にそぐわない子どもは目立つ。

ほかに選択肢がないわけだから、そこでなんとかがんばるしかないと親も思う。

そういうプレッシャーのなかで子育てをするわけだから、心配が増え、肩に力が入ってしまうのはやむを得ないと思う。

また、日本人の特質上「みんなといっしょ」ということに安心する傾向があるわけで、そこから外れてしまうことに不安を覚えることもやむを得ないと思う。

でも、このままではなにも改善されない。

 

みんなといっしょが安心。

それも分かる。

しかし一方で、こんな風に安心できる、肩の力が抜けるときがある。

「みんなちがって、みんないい」

金子みすずさんの詩の一部。

詩全体がどうこうというわけではなく、この一部分を口ずさむだけで、ちょっとほっとする瞬間があるのではないかと思う。

それにあのSMAPのヒット曲もそうだ。

「ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン」

この歌を聞いて、多くの人が共感をしたり、ほっとしたりしたからこそのヒットソングだと思う。

 

今の学校システムのなかで、これらの言葉を実現できるのは、ほんの一握りの先生だと思う。

これだけ均一性の高いなかで「みんなちがって、みんないい」というのは難しい。

「あなたはあなたのペースでやっていいからね。九九は小4でいいよ」とはいえないだろう。

中学校になるとテスト結果の順位がでる。

そんななかで、「ナンバーワンにならなくていい、もともと特別なオンリーワン」という言葉はどうしても受け止めにくい。ただの慰めになってしまうかもしれない。

 

でも、これらの言葉を聞いて安心をする瞬間があるのであれば、本当にその言葉を実現できる学校システムがあることは、お母さんたちが少しはほっとできる環境になるのではないかと思う。

自主学校瀬戸ツクルスクールは、「みんなといっしょ」という安心感はもたらすことはできないけれど、

「みんなちがって、みんないい」

ということが可能な場所。

「ナンバーワンにならなくてもいい もともと特別なオンリーワン」

と心から言える場所。

 

そんな場所があることで、たとえもし自分の子どもが公立の小中学校に合わないとしても、それは変でもなんでもなくて、たまたま場所が違っただけ。

この子が伸び伸びと成長できる学校システムがあるから、そちらにいけばいいだけ。

そんな風に思えれば、子育てをしていても、あるいは、これから子育てをしていくとしても、少しは肩の力を抜けるんじゃないかなと思っている。

 

いま、お母さんたちが不安なったり、心配になったりする主な要因はこの小中学校システムの選択肢のなさだと私は思っている。

ここを改善できるだけの力を持っているのが、自主学校瀬戸ツクルスクールだと思っている。